数寄屋建築の巨匠・吉田五十八と中島健が作庭を手掛けた,日本画家・川合玉堂の個人美術館の枯山水庭園。
玉堂美術館庭園について
「玉堂美術館」(ぎょくどうびじゅつかん)は青梅市の御嶽駅すぐ近くにある、日本画家・川合玉堂の作品を主に展示する美術館。その建築は近代〜昭和を代表する建築家・吉田五十八、枯山水庭園の作庭は中島健によるもの。
2019年夏に約5年ぶりに訪れました!前回訪れた時には吉田五十八の名前も知らなかったしその作風に惹かれるところまでも至っていなかったのですが、今回は庭園も建物も、そして玉堂の作品も時間掛けて鑑賞。元々知ったきっかけはアメリカの日本庭園専門誌の日本庭園ランキング『しおさいプロジェクト』で上位にランクインしていた所から。
文化勲章・旭日大綬章なども授与した明治〜昭和期に活躍した日本画家・川合玉堂。その晩年は太平洋戦争時の疎開をきっかけにこの御岳の地に移り、亡くなるまでの10年強の期間を過ごしました。
その縁と玉堂の功績を称える為に昭和36年に開館したのが玉堂美術館。玉堂の作品を中心として、今回自分が訪れた際には『玉堂と日美展』という企画で若手日本画家の作品も併せて展示されていました。また復元された玉堂の晩年のアトリエ「随軒」も外から見学できます。
美術館の設計を手掛けた吉田五十八は生前から玉堂と親交があったそう。また都内であまり見かけることができない本格的な枯山水庭園の作庭は吉田五十八と、それまでに元首相宅の庭園『吉田茂邸庭園』なども手掛けていた中島健によるもの。ちなみに吉田五十八+中島健のコンビは吉田茂邸と同じ。
説明板によると中島健さんはこの庭園では“無限”を表現。その石庭は美術館のすぐ外で眼下にのぞむ多摩川を表しているそう。今回訪れた時期には庭園背後の落葉樹が茂っていたけど、冬になると葉が落ち山々の借景がダイレクトに目に入るようになります。渓谷に張り付いてる複数階層の和風建築の風景もそれはそれで(現代の東京らしくなくて)好きな景色だったり。葉を落とす前、紅葉の時期もまた美しいんだろうな。
川合玉堂ゆかりの庭園としては、横浜に横浜市指定名勝の『旧川合玉堂別邸(二松庵)庭園』があります。
東京を離れる前にもう一度行っておきたかった庭園――を考えた時に、真っ先に思い浮かんだ場所でもありました。道中、青梅駅で乗換える時に、全く別の目的で何の約束もしていなかった友人とバッタリ会って、一緒にぐだぐだ喋りながら奥多摩の方へ向かったのも良い思い出として。
(2014年4月、2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)