後藤是山記念館・淡成居

Goto Zezan Residence Garden, Kumamoto

熊本市名誉市民にも選ばれた新聞記者・後藤是山。江戸時代の儒学者・薮孤山の旧居を移築した“淡成居”と、徳富蘇峰から贈られた樹木の植ったお庭。

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後藤是山記念館・淡成居について

「後藤是山記念館」(ごとうぜざんきねんかん)は昭和時代の新聞記者(九州日日新聞主筆)で熊本市名誉市民の後藤是山の旧居跡に開かれたミュージアム。熊本藩主・細川氏の大名庭園『水前寺成趣園』から徒歩3〜4分と程近くにあり、各種資料のほか昭和の和風建築『淡成居』とその庭園が見学できます。

『夏目漱石内坪井旧居』など、熊本市にいくつかある熊本市立のハウス・ミュージアムの一つで、夏目邸と近い時代・近い雰囲気が感じられるのがこの「後藤是山記念館」。

「九州日日新聞」(現・熊本日日新聞)の記者/編集者として主筆もつとめ、文芸欄の拡充につとめ熊本の文化の発展に貢献した後藤是山。新聞社勤務を経て、文筆家として独立して人気を博し、その旧宅を残している方は他にも居るけれど(徳富蘇峰など)、記者/編集者の方の旧宅が公の資料館となっている例は珍しい。(それだけ地域への貢献を果たした、と読み取れます。尚、晩年は郷土史家として活動されました)

なお後藤是山はまさに先述の徳富蘇峰(熊本出身)から薫陶を受け、蘇峰・徳冨蘆花ともに親交が深く、高浜虚子与謝野鉄幹与謝野晶子夫妻、夏目漱石の娘婿で小説家の松岡譲、そして同郷・大分県出身の美術家・朝倉文夫ら。館内には是山の功績のほか、東京で出会い九州日日新聞の書面にも登場することとなった与謝野夫妻や熊本出身の日本画家・堅山南風の作品が展示されています。(なお与謝野夫妻は是山の案内で九州各地を巡った際に訪れたのが天草の『上田家住宅/高浜焼 寿芳窯』

玄関となる記念館(展示室)の先にある和風建築が後藤是山が暮らした旧居『淡成居』。江戸時代、熊本藩の藩校「時習館」の教授(学長)をつとめた儒学者・薮孤山の旧居の一部を1927年(昭和2年)に移築したという和風建築。淡成居の名は先述の徳富蘇峰に依頼して命名されました。

そのお庭は『夏目漱石内坪井旧居』とよく似た雰囲気で――あまり強い造形性はないものの、平庭の中に植栽と小さな石造物が配されている、どこか“文人好み”のお庭。室内の広縁からのお庭の眺めは是山や蘇峰も眺めた風景で、お庭には是山や徳富蘇峰に関連する石碑があります。(徳富蘇峰はこのお庭にイチョウの木も贈ったのだとか。)
『水前寺成趣園』の後にはこちらの淡成居にも足を伸ばしてみて。

(2024年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR豊肥本線 水前寺駅より徒歩7分
熊本市電 国府駅/水前寺公園駅より徒歩7分

〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺2丁目6-10 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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