近代~昭和初期に実業家・水戸部弥作が構想、京都の庭師・川崎幸次郎が作庭に携わった銘石・格言・借景と様々な見所を楽しめる池泉回遊式庭園。
御苦楽園 修養の庭について
「御苦楽園」(ごくらくえん)は昭和初期に当地の実業家・水戸部弥作によって造られた池泉回遊式庭園で、庭園の設計は地元の庭師・山口助松(養樹園)と、松下幸之助の『真々庵』を手掛けた京都の庭師・川崎幸次郎。天童市の南部、Jリーグ・モンテディオ山形のホームスタジアム「NDソフトスタジアム山形」から徒歩20分ほどの場所にあります。
水戸部弥作は「山形正宗」を醸す蔵元「水戸部酒造」の創業者で、明治時代以降に酒造りと醤油醸造で財をなし、かつては天童駅前にも近代建築を建てるなど街にも貢献した人物(←この建物の写真を拝見して、「この建物壊しちゃうとは勿体無い」と思ったのですが、どんな建物だったかはうろ覚え…)。
晩年「稼いだお金は自分や一家の為ではなく、世の為・人のために使いたい」と考え、不況対策も含め地元の方を数百人と雇い8年掛けて作庭されたのがこの庭園。季節柄紅葉もきれいで、天童市東部の鵜沢山・面白山を借景とした風景も絶景なのですが、各地から運んだという銘石と、「自動自治」を始めとして数々の格言が刻まれた多くの柱石が圧巻・特徴的な庭園。
石灯籠の多さも特徴的で、一家にお金は残さない――としたものの、いざという時・いつの時代にも価値あるもの――といった意味が石燈籠にはあるそうです(そうなのか。初めて知りました)。
またかつての主屋の前にも築山式の池泉鑑賞式庭園があり、隣接する蔵屋敷なども見学できます。ちなみに小学校が隣接していますが、かつてはそこまでが水戸部家の敷地で教育に対して熱心な水戸部弥作が寄贈した…というご説明も伺いました。
天童を訪れたのは2度目だったのですが、このような庭園があったとは。驚きました。山形県は庄内地方に国指定名勝の庭園が固まっているので、県の中心部(村山地方)の庭園ってあまり情報がなかったのですが、こちらも本当に素晴らしい庭園でした。なお天童市には山形県指定名勝の庭園もあるのですが(『仲野半四郎氏庭園』)、非公開とのことなので…いつか見学したい!
(2018年11月訪問。冬季休園期間あり。情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山形新幹線 天童駅・山形駅より路線バス「ごくらく園口」バス停下車 徒歩3分
天童駅より約4km(レンタサイクルあり)
JR奥羽本線 天童南駅より約3km(徒歩約40分)
〒994-0051 山形県天童市奈良沢乙47 MAP