上杉謙信に仕えた豪族・鮎川清長ゆかりの寺院の、現在も拡張され続けている村上市の代表的な日本庭園。
普済寺庭園について
「普済寺」(ふさいじ)は村上市の郊外にある寺院で、新潟県指定史跡「大葉沢城跡」を境内の一部としています。その斜面を活かした池泉回遊式庭園は現在のご住職・角一覚隆さんと新潟県の作庭家・遠藤太一さん(遠藤庭園創作所)による作庭で、2019年から始まった国交省のガーデンツーリズム制度の「にいがた庭園街道」にも構成されます。村上市の代表的な日本庭園。
普済寺の創建は室町時代。開基の鮎川清長は戦国時代に上杉謙信に仕えた村上地方の有力豪族で、先述の大葉沢城は鮎川氏の居城。現在の本堂は江戸時代後期に建立されたもの。今回訪れたGWにはその本堂や近年増築された茶室「綉月庵」(しゅうげつあん)を含めた伽藍全体を使った『普済寺庭園春の公開』イベントが開催されていて、雑貨市・骨董市・お茶会・体験イベント・ミニライブ演奏などが開催されていました。
数年前から(自分の旅行計画用に)GWの庭園特別公開情報を調べるようになって、新潟のローカル新聞が取り上げていたこの庭園のGWイベントを見たのがこの庭園を知ったきっかけ。この『庭園公開』イベントはGW以外のほか秋の文化の日前後にも開催されていますが、庭園はこの時期しか公開されていないわけではなく通年で公開されています。(公開期間以外は事前連絡推奨)
大葉沢城跡へと繋がる斜面を活かした池泉回遊式庭園は昭和の末頃から作庭されたもの。遠藤庭園創作所・遠藤太一さんは国名勝庭園もある新発田の庭師。新潟県では庭師技能検定(造園技能検定?)の検定官を長年務められた実績があり、2015年に国の『瑞宝単光章』も受賞。
この庭園の面白いところは、最初の完成から約40年経った現在でも少しずつ改修が加えられている点。今回ご住職とも少しお話させていただいたのですが、御本人がとても庭園が好きで、庭園への愛着があって――「次はあそこをこうしたい」「●●庭園って知ってる?あの庭園のここが素晴らしくて――その部分をこの庭園にも取り入れたい」なんてお話を色々として下さった。
現段階の庭園も、本堂から座観しても滝石組や山の斜面に奥行きを感じる壮観な庭園だし、その斜面から見下ろして眺めても伽藍やその先の平野・山々の借景が素晴らしいのですが――今後も変わり続けるんだなと思うとそれもまた楽しみ。下記の村上市の観光案内サイトの過去の写真との変化を見ると面白い。
あと地方の寺社の庭園でこれだけ花木の情報が充実しているサイトはないかもしれない。サイトのデザインが今風であったりコンテンツが充実している点など、若者に負けず劣らず『インプット』をし続けているんだろうと思います。次回訪れるのもまた楽しみ!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR羽越本線 村上駅より約7km(駅や市内にレンタサイクルあり)
村上駅より路線バス・村上―縄文の里朝日線「大場沢」バス停下車 徒歩5分(本数少ないです。詳しくはこちら)
〒958-0253 新潟県村上市大場沢1847 MAP