福州園

Fukushuen Garden, Naha, Okinawa

那覇市中心部や那覇空港からのアクセス◎、通年の庭園夜間ライトアップも人気!琉球と中国・明ゆかりの歴史ある地に平成時代に作庭された中国式庭園。

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福州園について

「福州園」(ふくしゅうえん)は沖縄県那覇市にある中国式庭園。沖縄県庁/那覇市役所/国際通りの入口など那覇市中心部からも程近く、国内外・県内県外からの多くの観光客に親しまれています。毎日の夜間庭園ライトアップも人気。2022年に一部がリニューアル、新しいロゴを人気ロックバンド・MONGOL800(モンパチ)のドラマー・高里悟さんが手掛けています。

那覇空港からゆいレールに乗って、那覇市の中心駅のひとつ「県庁前」駅で下車して徒歩10分弱。「波の上ビーチ」への道すがらということもあって人気観光施設の一つとなっている福州園(2024年の年間来場者数は約10万人、実は世界遺産&特別名勝『識名園』より多い…!)。“日本庭園”ではないけれど沖縄観光の定番!的なポジションとなっている庭園。久々に訪れたので改めて紹介します。

開園は1992年(平成4年)、那覇市の市制70周年&那覇市と中国・福州市の友好都市締結10周年を記念して造園されました。
日本庭園的に言うといわゆる“池泉回遊式庭園”。8,500平方メートルの敷地の中心部には大きな池泉“欧治池”を配しつつ、「二池泉水」「三部空間」「四季風光」「八大景観」「福州園八景」などをキーワードにデザイン。その庭園設計や技術指導は福州市の設計者/職人によるもので、独特の石積みなど日本庭園/琉球庭園とは異なる空間となっています。

「二池泉水」「三部空間」の中心は先述の「欧治池」。その正面に大きな築山「冶山」の上に配されたあずまや「冶亭」がシンボル的にそびえます。アシンメトリーな池泉は日本庭園と同じだけど、その険しい石積みの山が最も日本庭園とは異なる世界観を感じるポイント。その回廊の南側に眺めるもう一つの石組“荷花塢”(にかう)は日本の中世〜近世の寺院庭園に近い。

庭園南側、福州の代表的な建築(お堂)を模した「東冶堂」や大きな石塔「烏塔」を過ぎた先に「二池泉水」「三部空間」のもう一つ「桃花渓」へ。池泉にせりだす「凌波廊」から池泉の対岸の築山「于山」や烏塔を眺められます。ここは四季のうち主に「春」のお庭。

“欧治池”の方へ戻って。庭園の最北部には中国風の建築群「三友斎」(建築名や景色の名前を書いていると、日本文化の漢詩からの影響や引用を改めて感じる)〜この庭園の最高地点「屏山」があり、そこから隣接する施設「クニンダテラス」やカフェレストラン「福州園 GARDEN」へとつながっています。この屏山、先の于山、あと烏山の「三山」も福州の景観を模したもの。

この地に中国式庭園が作庭された背景にはもう一つの歴史があります。中世、沖縄が琉球王国、中国が明だった時代。両者は貿易関係にあり、この「久米」の地には福建省(福州)から集団移住された方が暮らしていたとか。福州園の隣接地には当時の歴史を伝える史跡のひとつ「久米至聖廟」(孔子廟)も建ちます。

ここでは一応説明を色々書いたけれど、その立地/来園者数からも多くの「庭園って、なんか、いいな」を生み出している可能性がある庭園――。夜のライトアップされた姿も素敵!沖縄旅行で中心部に泊まる際はぜひチェックして足を運んでみて。

(2014年7月、2018年6月、2025年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

ゆいレール 県庁前駅から徒歩8分

〒900-0033 沖縄県那覇市久米2-29-19 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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