昭和の名造園家・重森三玲が唯一東京に作庭した枯山水庭園。その作風が堪能できる四十八の鋭い石組。(非公開)
福泉寺庭園 四十八願の庭について
【通常非公開】
「福泉寺」(ふくせんじ)は東京・麻布十番にある寺院で、重森三玲により作庭された枯山水庭園「四十八願の庭」があります。
京都で『東福寺』を始めとする有名庭園を手掛ける重森三玲が東京で唯一手掛けた石庭――非公開の庭園であり、以前2回ほどお電話で拝観についてお聞きした時も2回程断られました。その分「いつか見たい!」と思い続けていた憧れの庭園。今回縁あって拝観させていただきました!(※なので普通に電話してもお断りされると思うので、ご留意を)
「四十八願の庭」の完成は1965年、重森三玲が69歳の時。同じ年に完成した庭園には『望洲楼庭園』があり、その前年に京都・東福寺の『龍吟庵庭園』、翌年に丹波篠山の『住吉神社 住之江の庭』を手掛けています。
10年程前、2008年に拝観されたというこちらのブログによると、荒廃していたこの枯山水庭園がその当時に一度修復整備がされたそう。
その時の写真と比べると、今回は――冬の落ち葉がそのままだったり砂紋がない点など、常時管理されているとは言えない状態。それでも、石組周りの島の部分が人工芝になっている分(2008年の整備の際にこうなったのかな?)、石組が隠れたりすることはなく――ずっと見たかった重森三玲作品を堪能するには十分だった。掃き掃除ぐらいなら自分がやりたい…!
浄土真宗・本願寺派のお寺である福泉寺は鎌倉時代に鎌倉にて創建され、その後江戸に移転してきた寺院とされます。麻生十番というと高級住宅街というイメージしかないのですが、意外と寺社仏閣がある(福泉寺のすぐ隣には「称名寺」も)。最後の写真1枚は福泉寺がある二の橋交差点を渡り、日向坂を登り始めたところにある寺院「円徳寺」で、近代建築風な本堂が特徴的。福泉寺も近代洋風建築のようなガレージもちょっと気になったんだよなあ…。
サントリー商品開発センターの枯山水庭園と並んで、東京在住の枯山水・石庭好きにとっては最も身近で遠い存在だった「四十八願の庭」。玄関には重森三玲さんを紹介する新聞の切り抜きが貼られていた。この芸術的作品がいつか手入れされる体制が整って開かれることを願います。
(2019年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)