重森完途氏も気に入り何度も訪れていたという、江戸時代初期の池泉鑑賞式庭園。福井県指定名勝。
圓照寺庭園について
【拝観は事前連絡推奨】
「圓照寺」(えんしょうじ)は小浜市の国宝・国重文を所蔵する“八ヶ寺”の一つ。国指定重要文化財となっている平安時代後期の仏像を所蔵し、また江戸時代初期に作庭された池泉鑑賞式庭園が福井県指定名勝となっています。
初めて小浜市を訪れた時には国指定名勝の『萬徳寺庭園』しか知らなかったのでそちらにしか行かなかったけど、今回福井県の庭園を色々巡るにあたり県や市の文化財を調べていたところ、小浜市には県指定名勝の庭園も2箇所あった!その一つがこの圓照寺庭園。今回初めて訪れましたがこちらも素晴らしい庭園だった!知っていれば前回も訪れたのにぃ…。
地久山圓照寺は天智天皇の時代(飛鳥時代)に創建されたと伝わり、当初は「遠松寺」という寺名だったそう。現在地に移転したのは、小浜市のサイトでは室町時代、お寺のパンフレットでは江戸時代の初期とあり、違いすぎてどちらが正しいかわからない…(それ以外の情報は一致しているのに)。また江戸時代初期には白隠禅師が訪れたこともあるとか。
境内にある「圓照寺庭園」は江戸時代初期に作庭された池泉式庭園。ご住職によると、京都林泉協会会長だった重森完途さんが気に入って何度も訪れていたそう。現在は鑑賞式庭園といった感じですが、かつてはもう少々池泉が広く回遊式庭園のような趣きだったとか。それ以外にも一部石組が変わっているため、国の文化財としての調査に訪れた方からは「惜しい」という発言もあったとかなかったとか…ですが、国名勝にもあと一歩という程の古庭園。
現在の庭園の姿も――今回の訪れた時期の割に苔の緑も美しく、その石組や築山、一部のみ見られる若狭の山々の景色などなど様々な角度で眺めてもグッと来る。また本堂の裏にあたる場所にもかつて配された石組も残ります。また付近にはモリアオガエルが多く生息しているそうで5〜7月には池泉に多くその姿を現すとか。その時期の苔の庭園はきっとまた美しいのだろうなあ。
また圓照寺に所蔵されている平安時代後期の「大日如来座像」「不動明王立座像」は国指定重要文化財となっており、木造大日如来坐像の方は国宝・国重文の大日如来像の中でも4番目の大きさなんだとか。こちらも拝観させていただきましたが素晴らしかったです。また訪れたいお寺さん!
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圓照寺は気になるポイントが他にも色々あって、境内周辺は城郭のような石垣が組まれていること、隣接する「赤松神社」と敷地を行き来できるような構造になっていること、そしてコミュニティバスや乗合タクシーが(たぶん)無い集落でありながらも結構立派な(古そうな)お屋敷や蔵が並び、中には素敵なお庭が見え隠れするお宅があること…などなど。
圓照寺から1.5km程の場所には「八ヶ寺」の妙楽寺もあります。現代においては旅行先としてのアクセスは決して良くない小浜だけど、由緒ある寺社仏閣が多く残るところはかつての「若狭国」の繁栄ぶりを感じる。
公共交通が便利と言いづらい一方で、小浜は小浜駅にも東小浜駅にもレンタサイクルがあるので(しかも結構乗り心地良くカスタマイズされてた!好きな人が居るなきっと!)せっかくなら自転車に乗って古刹・文化財を巡るのは個人的には推したいアクティビティです!
(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)