
古く平安時代に『古今和歌集』にも詠われた京都・洛東の紅葉の名所は、春には青もみじの名所でもある。
永観堂禅林寺について
「永観堂」(えいかんどう)の通称で知られる「禅林寺」は平安時代に弘法大師空海の弟子・真紹僧都が開いた寺院。京都の紅葉の名所として知られます。
2020年4月、緊急事態宣言が出た頃。多くの寺院が拝観休止となりこの永観堂もそうだったのですが、一時期は境内を通って本堂のお参りだけは可能だった…というのを近所の散歩の最中に気づき。一面のモミジが青くなり始めた時期の写真を紹介。
お寺の歴史についてサラッと。真紹は853年に貴族・文人の藤原関雄が山荘を構えていた地を購入。なおこの地が古くから紅葉の名所だった――と言われるのは、この藤原関雄が『古今和歌集』でモミジに関する詩を詠んでいるため。
清和天皇から許可を得て正式に禅林寺となるのは10年後、863年のこと。その後鎌倉時代には永観律師(えいかんと読むと思いきや“ようかん”)の下で順調に発展を遂げます。中世には応仁の乱で伽藍を焼失するもその後も順調に復興。現在は浄土宗西山禅林寺派の総本山という大寺院になりました。
歴史ある寺院なので国宝・国指定重要文化財含む多くの文化財の絵画・仏像を所蔵しています。中には長谷川等伯や狩野元信の作品とされる絵図も。一方で伽藍は最も古い釈迦堂(方丈)が室町時代の建築、本堂である阿弥陀堂も江戸時代初期の建造物。
境内の中心にある“放生池”から小川と楓橋を通じて下部の池泉へ流れ込む回遊式庭園は、東山の借景や多宝塔・本堂の眺めが美しい。秋の紅葉以外の季節もオススメ。
(2014年12月、2019年11月、2020年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)