童学寺庭園“逍遥園”Dogaku-ji Temple Garden, Ishii, Tokushima

徳島市の隣町、空海ゆかりの寺院に残る室町時代に築庭されたと伝わる池泉鑑賞式庭園。石井町指定名勝。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

童学寺庭園“逍遥園”について

「童学寺」(どうがくじ)は弘法大師空海が幼少期を過ごされたことからその名となった、真言宗善通寺派の別格本山寺院。四国別格二十霊場二番札所。室町時代に作庭されたという池泉回遊式庭園は石井町指定名勝。

2019年8月に2度目の訪問。最初に訪れたのが2016年。その翌年の2017年、火災により本堂・庫裏が全焼。今回訪れた際もまだ庭園やプレハブの受付小屋など一部の施設を残し、あとは更地といった状況でした。写真は火災前のものも織り交ぜながら紹介。最後の写真は再建にあたっての寄付の募集です。

童学寺は古くは行基により開かれたと伝わり、平安時代の初めには弘法大師空海が幼少期にこのお寺で学び過ごされたそう。また庭園の脇にある“お筆の御加持水”は書家としても優れていた空海が硯の水として用いていた湧水で、現在も湧き続けていることからご利益のある霊水として知られるそう。2019年訪れた時は他の人の姿は見当たらなかったけど、2016年に訪れた時には確かにこの泉目当てに訪れてた人が何人か居たっけ。
また42歳になった空海は再度童学寺を訪れいくつかの仏像を制作。そのうち木造薬師如来坐像は国指定重要文化財となっており、火災の際も運び出され無事だったそう。そのほか町有形文化財の切支丹灯籠も火災を免れました。

境内には室町時代に作庭されたと伝わる“逍遥園”という池泉回遊式庭園が残ります。本来は庫裏の裏側にありましたが――今回訪れた際には建物がなくなり自由拝観に近いといえばそう。(自由拝観ではあるけど、寄付金も込めて志をお賽銭箱へ)
2016年に訪れたきっかけは『阿波国分寺庭園』を拝観した際にご住職が「重森三玲さんは、ここから近い童学寺の庭園も大変気に入っておられた」という話をお聞きしたから。阿波国分寺から童学寺までは約7km。

石井町指定名勝となっているこの庭園もその他の徳島県内の庭園と同じく、阿波の青石による石組や岩壁が迫力ありかっこいい庭園。石組が主体の庭園なので火災による影響はさほど受けなかったのが(庭園ファンとしては)不幸中の幸いというか…。安全面で庭園の上部には行けなくなっていたけど、かつて庫裏のあった場所から、前回は見れなかった“全体を引いて見る”ことができます。

・・・・・・・
先日『阿波国分寺庭園』も更新したので次はこの庭園も更新しよう、とは思っていた。そして昨日の朝のニュース――10月31日未明に火災が発生した『首里城』も2度訪れた場所であり――その地域の象徴的な建物なので衝撃度も強かったけれど――。でも世界遺産であっても、市町村の文化財であっても、古い歴史的建造物が失われる時の喪失感に差があるわけではなく。

戦災から石組だけが残り復元された、という庭園も紹介したばかり。首里城も庭園の一部は残るかもしれない。――城郭のように“庭園”が観光の目的となるぐらい価値が高い存在によりなれば人に足を運ぶきっかけを与えられるはず、なんて思うし、美術品として古庭園を保持し維持する(=投資する)ことが起こったりしないかなあなんて思うし――自分がやっていることが認知向上に少しでも貢献できればな、とかそんなことを思います。この室町時代の庭園が今後も地元の人が誇れるものであって欲しい。

(2016年10月、2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR徳島線 下浦駅より徒歩約25分、石井駅より徒歩30分強
徳島駅・石井駅近くの石井中バス停より路線バス「有誠園前」バス停下車 徒歩7分(※休日は2往復のみ、時間的にも往復利用は難しいので片道は徒歩で)

〒779-3232 徳島県名西郡石井町石井城ノ内605 MAP