『足立美術館』の中根金作が作庭した禅の枯山水庭園。室町時代建築の本堂/唐門/唐門が国指定重要文化財、古田織部好みの茶室も。
大徳寺 興臨院庭園について
【通常非公開/特別拝観期間あり】
「興臨院」(こうりんいん)は京都を代表する禅寺の一つ『大徳寺』の山内にある塔頭寺院。室町時代から残る表門・唐門・本堂が国指定重要文化財で、『足立美術館』の庭園が有名な作庭家・中根金作による枯山水庭園や古田織部好みの茶室“涵虚亭”があります。
常時公開ではありませんが、毎年春期・春期に長めの特別公開が設定されています。2022年6月に5年半ぶりに拝観しました!(茶室周りの露地庭園の雰囲気が少し変わったような…)
その歴史は室町時代の大永年間(1521年〜1528年)、能登国の守護大名・畠山義総により創建。“興臨院”の名は畠山義総の法名から取られました。以後畠山氏の菩提寺として今日まで畠山家歴代の墓所が残りますが、畠山氏の衰退とともに寺院は荒廃。
その後能登を領地とした加賀藩前田家の初代で“五大老”のひとり・前田利家が本堂の修復が行われ、畠山家に加え前田家の菩提寺にもなりました。
現在残る建築のうち、表門は創建当初からのものですが、本堂は創建から割と早い段階で焼失。現在の本堂(および唐門)は1533年(天文2年)の再建と伝わります。それでもじゅうぶん古い。
なお、4〜50年前の昭和50年代前半にそれらの解体修理が行われていて、表門を入って右手にある庫裡はその際に再建されたもの。
方丈前庭もそれと同時期(1978年)に、古資料を元に中根金作により再現された枯山水庭園。白砂の中に配された石組は、蓬莱世界――古代中国の寒山・拾得が生活していた天台山 国清寺の石橋を桃山時代風の石組で表現したもの。その周囲を苔の緩やかな築山とサツキ・ツツジの刈り込みで彩られています。
方丈をぐるっとまわると美しく苔むしたお庭が続いていて、西側にはモミジやアジサイなどの季節の花々や(アジサイはこの5年の間に加わったっぽい)、琴心塔といった石塔が。
そしてその苔が茶室“涵虚亭”(かんきょてい)の露地へと続いていきます。この茶室は近代の実業家で、数々の寺院を支援した素封家でもある山口玄洞が1928年(昭和3年)に寄進されたもの。「山口玄洞(尾道市)」となぜか市町村の名が書かれてたのが気になった…。古田織部好みの四帖台目に隅板を加えた茶室になっています。
2022年春の特別拝観は6月19日(日)まで。また秋の公開情報は↓の「京都春秋」のサイトからチェック!
(2016年10月、2022年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)