大池寺庭園

Daichi-ji Temple Garden, Koka, Shiga

日本国内屈指のサツキの大刈込庭園!水口城を築城した小堀遠州が作庭の枯山水庭園“蓬莱庭園”。甲賀市指定名勝。

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大池寺庭園“蓬莱庭園”について

「龍護山 大池寺」(だいちじ)は東海道五十三次・水口宿の外れにある、奈良時代に行基により創建されたと伝わる古刹。江戸時代初期に小堀遠州により作庭されたと伝わる枯山水庭園“蓬莱庭園”が甲賀市指定名勝で、その他に御本尊の釈迦如来坐像(甲賀市指定文化財)は“甲賀三大仏”にも数えられます。

サツキの大刈込が特徴的なその庭園は、6月初旬にはピンクの花でいっぱいに。いつかその季節に見たいなぁと思っていて、2021年6月に4年半ぶりに拝観。

歴史について。行基はこの地に灌漑用に“心”の字を表わした4つの溜池を掘削。その中央に建立された「青蓮寺」が大池寺の前身。なおその4つの池は現在も残っていて、そのうちの1つがバス停や駐車場からも見える、八幡神社のある大きな池。大池寺の庭園自体は全て枯山水庭園だけど文字通り“大きな池”に囲まれた寺院。

鎌倉時代に天台宗から臨済宗に改宗し、現在は臨済宗妙心寺派の寺院。あと甲斐の『恵林寺』とも繋がりがあるのか恵林寺のご住職筆の碑があったり、あと家族的な繋がりがあるらしく郡上八幡の『慈恩禅寺』のチラシも置いてあった。(慈恩禅寺の庭園も素晴らしいです)

戦国時代に織田信長六角承禎の合戦に巻き込まれて伽藍を焼失。江戸時代に入り寛文年間の1667年~1670年頃にかけて再興、その際に現在の寺名に改名。また再興にあたって援助をしたのは後水尾天皇、仙台藩・伊達宗房、そして織田信長の甥・織田主水正信
中でも織田正信は中興開基にもなり、寺紋は織田家の家紋が使われています。本堂はその当時に建立されたものが現存。

庭園はその再興に先駆けて、1634年(寛永11年)まで『水口城』の築城に作事奉行として携わっていた小堀遠州がお城の完成を祝して作庭したものと伝わります。文化財としては市の指定名勝だけど日本国内屈指の大刈込庭園。小堀遠州作庭と伝わる庭園の中では岡山県の国指定名勝『頼久寺庭園』にも勝るとも劣らない刈込の造形!

その独特な形をした刈込み。背後の2段の刈込は海の大波小波を、そして中央にある有機的な形をした刈込は“七福神”が宝船(蓬莱船)に乗っている姿を表現。白砂による大海を宝船を進む様が描かれています。
6月はカラフルな庭園が楽しめる時期だけど、花が終わった後の整った刈込の姿や、秋には背後の山からのモミジの紅葉と緑色の刈込のコントラストが楽しめて、そして冬…にここまで来るのは大変だけど、刈込に沿って積雪がする姿はきっとユニーク。

この主庭を眺める書院の背後には茶室“松濤庵”があり、そちらからも別の枯山水庭園が楽しめたり、前庭には現代に作庭された“回遊式琵琶湖庭園”“心池庭”という石庭も。6月にはそれぞれでピンクに染まるサツキの姿を楽しむことができます。今後も四季訪れたい庭園!

(2016年12月、2021年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近江鉄道本線 水口駅より徒歩20分
JR貴生川駅・三雲駅から甲賀市コミュニティバス「大池寺」バス停下車 徒歩5分(⇒こちら。平日は1時間、休日は2時間に1本程度)

〒528-0035 滋賀県甲賀市水口町名坂1168 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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