小堀遠州作庭の“遠州三名園”の一つ。無数のドウダンツツジが春は白く、秋は紅葉に染まる“満天星の庭”。静岡県指定名勝。
長楽寺庭園について
「光岩寺 長楽寺」(ちょうらくじ)は平安時代に弘法大師空海により開かれたと伝わる寺院。大名茶人・小堀遠州作庭と伝わる池泉庭園“満天星の庭”は静岡県指定名勝で、同じく小堀遠州作庭で井伊家の菩提寺『龍潭寺庭園』と並び“遠州三名園”の一つに挙げられます。
2020年12月に約5年ぶりに拝観。まさにドウダンツツジの紅葉のピークだった!
前回までは住職不在(無住)のお寺で、宗派関係なく管理人さんが住まわれてお庭の管理をされているという状況だったのですが、2016年頃から浜松の別格本山・鴨江寺のご住職が兼務されることになったそう。現在の庵主は奈良・東大寺でも個展を開かれている尼僧・吉田真譽さん。
約1200年前の平安時代初期の大同年間、長楽寺の庭園からのぞめる岩座が光り輝いていたことから空海がこの地を霊地としてお堂を建立。山号の由来もそこから来ていて、近年までは巨石の下に観音堂もあったそう。岩座の上には奈良の国宝『室生寺』や『金峯山寺』などを建立、“国宝・投入堂を投げ入れた人”役小角が祀られています。
建造物で最も古いのは室町時代作と言い伝えられている土塀。江戸時代後期に建立された山門と相まって入口から古刹の雰囲気が感じられる。
そんなお寺の成り立ちから、江戸時代初期に小堀遠州が作庭した庭園“満天星(どうだん)の庭”も岩座を借景として眺めみる池泉鑑賞式庭園ということになる。
その名の通り山の斜面をそのまま利用した築山に200株とも言う数多くのドウダンツツジが植わっていて、初夏には真っ白な花を咲かせ、そして秋には紅葉した姿を見せてくれます。そしてその池泉は浜名湖の風景を表現したもので、池に振りかかる“臥龍松”が圧巻。
この庭園のビューポイントとなる建物(客殿)は、江戸時代に気賀を治めた旗本・気賀近藤家により1693年~1700年頃の元禄年間に建立されたもの。長楽寺は江戸時代には近藤家の祈願寺となっていました。
庭園が現在のような池泉回遊式庭園としての性質を持ち始めたのはその頃からなのかもしれない。版画家・浦田周社さんの版画では築山の上から客殿越しに浜名湖をのぞむ風景が描かれています。
その他、鎌倉時代後期の1305年作の梵鐘が静岡県指定文化財(県内で2番目に古いもの)。鎌倉時代作のご本尊の木造馬頭観音坐像は浜松市指定文化財で、2021年春に浜松市美術館で開催される『みほとけのキセキ -遠州・三河の寺宝展-』でも展示されます。国指定重要文化財の仏像も含め、貴重な仏像が一堂に会する展覧会。こちらもチェック。
*2020年12月の拝観の様子は、『おにわさんと行く!遠州のお寺と庭園巡り【長楽寺・摩訶耶寺編】』(ジェンヌちゃんねる)でも紹介されています。解説しているようで、「いい庭だなあ」しか言ってないですが。笑。
(2013年6月、2015年11月、2020年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
天竜浜名湖鉄道 気賀駅より約2km(徒歩25分)※気賀駅にレンタサイクルあり
浜松駅・気賀駅より路線バス「長楽寺入口」バス停下車徒歩8分
〒431-1305 静岡県浜松市北区細江町気賀7953-1 MAP