室町幕府将軍・足利尊氏の鎌倉の邸宅跡に残る寺院に、京都でも名園を手掛ける曽根造園が作庭した枯山水庭園。
長寿寺庭園について
【期間限定公開】
「長寿寺」(ちょうじゅじ)は鎌倉の臨済宗建長寺派大本山『建長寺』の塔頭寺院。室町幕府初代将軍・足利尊氏が鎌倉の邸宅内に創建した寺院で、近年は春期(4~6月)と秋期(10~11月)の金曜日~日曜日・祝日のみ限定公開されています。(またその時期でも雨天の場合は拝観中止)
書院の裏にある枯山水庭園は、京都の名園『天龍寺』や『東福寺』の庭園を管理、また『天龍寺』の前庭や『真如堂』の枯山水庭園の作庭を手掛けている曽根造園による作庭――とお聞きして今回初めて拝観!
足利尊氏の没後、尊氏の息子であり初代鎌倉公方・足利基氏によって伽藍(建造物)が整備。境内には足利尊氏の遺髪を埋葬した墓所 ・石塔も残ります。ちなみに尊氏の法名は関東では長寿寺殿と称する一方、京都では等持院殿と呼ばれるそう。尊氏ゆかりの京都の『等持院庭園』も素晴らしい庭園ですね。
曽根造園さんのサイトの長寿寺の紹介では白砂と苔の美しい枯山水庭園――なのですが、初めて4月に訪れた時は苔がけっこうな茶色…。4月第1週という季節がまだ良くなかったのかも。(あと別のお寺さんで「2018年に台風が多くて、この地域の樹木はかなり塩害でやられた」という話をしていたので、その影響もあったのかも…)
春が本格化した5月以降はだいぶ緑色になっている――ということだったので、5月にも続けて拝観しました!この時にはだいぶ苔も緑色になって見頃を迎えていました。ただ4月の初旬もそれはそれで良かった点はあり…苔上の樹木の葉がまだ開き始めで見通しが良かったので、その時はその時で庭園と書院越しに見える建長寺の裏山の借景が美しかった。
前述の『天龍寺』『東福寺』など、京都が拠点の曽根造園(曽根三郎)が鎌倉の庭園を手掛けることになったきっかけには横須賀の『満昌寺庭園』(通常非公開)があります。満昌寺で関東最初の作庭を手掛けたのち、同じ臨済宗建長寺派の寺院である『浄妙寺庭園』、あじさい寺『明月院庭園』やこの長寿寺の庭園を手掛けることに繋がったそう。
現在の庭園が作庭・改修されたのは2007年。その前年に本堂が新築されているので、それをきっかけに改修に至ったものと思われます。白砂の庭園の背後にはサツキツツジの刈り込みやモミジや竹林、4月に訪れた際には満開の桜も!限定公開の時期は境内の樹木の見頃に併せて設定されているんだろう。
なお現在の本堂・書院が完成するまでは、現在「観音堂」となっている茅葺屋根のお堂が本堂だったそう。こちらは奈良の国宝寺院『円成寺』(国指定名勝の『円成寺庭園』もあります)から移築されたもので、室町時代の建立と伝わる古建築。天井絵が美しいので是非そちらも!
またお寺のすぐ裏にある「亀ヶ谷坂」も国指定史跡。結構な急坂なので、自転車で鎌倉駅方面から向かうと大変な思いをします…(電動でも辛い急坂)。また別の時期にも再訪したい!
(2019年4月・5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)