建築家・藤井厚二の庭園観にもふれられる、氏の代表作で近代数寄屋建築の傑作。国指定重要文化財。
聴竹居(旧藤井厚二自邸)について
【完全予約制】
「聴竹居」(ちょうちくきょ)は近代の建築家・藤井厚二が1928年(昭和3年)に建築した自邸であり代表作。「聴竹居(旧藤井厚二自邸)」として、本屋・閑室・茶室の3棟が“昭和の個人住宅として初”の国指定重要文化財。
現在は藤井がキャリアをスタートさせた竹中工務店が所有、一般社団法人 聴竹居倶楽部により管理・運営されています。
存在を知って行きたいなと思ったのはだいぶ前だった気がするんだけど、見たい気持ちが高ぶった2020年は新型コロナの影響や修復工事の影響で年間通じて非公開。2021年春から公開再開したのを見て、4月に早速初めて訪れました!(先に他の藤井作品『旧村山邸』、『旧小川邸』等を紹介していたけど、最初に見たのは聴竹居だった。)
建物内の写真はネット上へのアップがNGなので、外観写真のみ紹介。
“建築環境工学”“環境共生住宅”のパイオニアとして名高い藤井厚二。大学卒業後に所属した竹中工務店では『大阪朝日新聞社』社屋や『旧村山家住宅』のような大型建築を手掛けながらも退職。海外周遊を経た後に京都大学(京都帝国大学)の講師(後に教授)として、そのスタイルを突き詰めてゆくことに。
1920年には大山崎の約4万平方メートルの山林を購入、その中に自らの理想とする個人住宅を実験的に複数回に渡り建築。聴竹居は計5作目(大山崎での4作目)で、唯一現存している建築。
建築サイトじゃないのでテクニック的な話はここでは省略しますが——機能性が先進的でありながらも、西洋的な幾何学模様と数寄屋建築としての意匠が追求された、モダンなデザインが素晴らしい!
“聴竹居の庭園”“藤井厚二の庭園観”を切り取って語られている文献は今のところ見たことがないけれど、住宅建築で名を馳せた藤井厚二にとって“庭園”は切っても切り離せないものだったはず——。
聴竹居の外観写真でずっと変わらないもの、それは縁側前のモミジと斜面に植わったドウダンツツジの群生。なぜドウダンなのだろう。阪神間モダニズムでドウダンがメインの庭園が印象的な邸宅といえば阪急創業者・小林一三自邸『雅俗山荘』があるけど、でも“当時の流行り”で終わらず、背を低く保つことができて冬になると葉が落ちることに意味があったのでは。
本屋(主屋)の奥にあるのが“閑室”。本屋が家族のプライベートスペースであったのに対して、こちらが藤井の私的な空間。玄関が京都の近代庭園・邸宅でよく見られる“加茂の七石”真黒石の延段風になっている。ちゃんと庭園面においても当時の流行・一流が反映されている。
本屋の縁側や寝室からは淀川方面や平野部の景色が一望できます。“理想の住宅”にはきっとランドスケープも含まれていたはず——。尚、茶室は今回修復中で外観も見られず。完了後にもまた訪れたい〜!
(2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR京都線 山崎駅より徒歩6分
阪急京都線 大山崎駅より徒歩8分
(踏切があるので時間には余裕を持って)
〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町大山崎谷田31 MAP