伊勢国司・北畠家にも仕えた名家のお屋敷に重森三玲が作庭した2つの枯山水庭園。国登録名勝。(*古民家レストラン『ちそう菰野』は閉業)
菰野横山邸園(横山氏庭園)について
【通常非公開】
「菰野横山邸園」(こものよこやまていえん)は伊勢国司・北畠家に仕え、江戸時代には中菰野の代官を務めた名家・横山家の江戸時代に建てられたお屋敷と、重森三玲の作庭による枯山水庭園。2019年、「横山氏庭園」として国登録記念物(名勝地関係)となりました。
2017年にこの歴史ある屋敷を活用したレストラン、アート・ギャラリー『ちそう菰野』がオープンしていましたが、2021年現在は閉業し再度非公開の庭園となりました。
*[訂正とお詫び]
当初の記事に【横山家の古屋敷が民間に委譲?され2017年に「ちそう菰野」がオープン】という文章がありましたが、こちらは誤りです。屋敷や石庭含め現在も横山家の所有であり、庭園の名称も正式な名称の『菰野横山邸園』に訂正いたしました。
横山家は伊勢国司・北畠家に仕えたのち、永禄年間(室町時代末期)に菰野へ移住。江戸時代には菰野藩に仕えて当地の代官を務め、また明治時代に村長、大正時代には衆議院議員を務めた名家。
「菰野横山邸園」には江戸時代後期に建てられた母屋と蔵、そして明治時代に建てられた長屋といった古建築が残ります。建築も庭園とともに国登録有形文化財に。
「ちそう菰野」が開店した折には、これまで非公開だった重森三玲作庭の枯山水庭園を眺めながら食事することができました。前庭と中庭の2種類の石庭があり、表庭は御在所山の借景も素晴らしい!そして中庭はまた違う作風の直線的な(表庭と比べると実験的な)作品になっています。
これらの庭園の完成は昭和43年。重森三玲は同年にはお隣・岐阜県の『正眼寺庭園』も着手しています。
また庭園の奥にある茶室は『尽日庵』と言い、名古屋の表千家の茶家「吉田生風庵」の2代目・吉田紹敬宗匠による設計。内部は公開されておらず情報も無かったのですが、横山家の横山陽二様のサイトに写真が掲載されておりました。
※調べると「吉田生風庵」の5代目・吉田紹村が明治〜昭和年代の人物。それ以前の2代目による設計ということは…こちらの茶室も江戸や明治からの歴史ある茶室ということになりそう。
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菰野町という、四日市からも少々離れていて自分も名前しか知らなかった場所にこんな素敵な場所があるとは…!お電話でご予約の状況を伺った際にはけっこう先まで埋まっててビックリ。
三重県に1箇所だけ重森三玲の庭園があるというのは氏の作品一覧を見ながら以前より気になっていたのですが――このような形で公開されることになったと情報に辿り着いた時はスマホ握りながら興奮したし、実際に足を運んでみて――素晴らしい庭園のみならず地元の良質な食材をふんだんに使ったお食事やアート・ギャラリーの展示も、とても素敵だった!また公開される日が来たらいいなぁ。
(2017年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)