智積院庭園

Chishakuin Temple Garden, Kyoto

京都駅から2番目に近い常時公開の国指定名勝庭園“利休好みの庭”。運敞僧正作庭。長谷川等伯の国宝障壁画も。

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智積院庭園について

「智積院」(ちしゃくいん)はJR京都駅から真東に1.5km程の場所にある大寺院。“利休好みの庭”と称される庭園は国指定名勝で、常時公開の庭園としては京都駅から2番目に近い国の文化財庭園。長谷川等伯久蔵親子とその一派による国宝の障壁画も所蔵。
2021年秋の紅葉時期に約4年ぶりに拝観したのでその写真を追加。

元は高野山とともに真言宗のメッカだった紀州の根来山・大伝法院(現『根来寺』)に2,000以上あった子院の一つとして創建された智積院。正式名称は“五百仏山 根来寺 智積院”。

室町時代末期の根来寺は1万人もの僧兵集団“根来衆”を擁しました。その武力をもって羽柴秀吉方の『岸和田城』へ侵攻したことで秀吉の怒りを買い、紀州征伐において攻め込まれ山内は一部を残して焼失。

この戦いの折に根来山から京都に逃れたのが当時の智積院住職・玄宥僧正。秀吉が亡くなると、京都・東山三十六峰の一つ“阿弥陀ヶ峰”の麓、豊臣家ゆかりの『豊国神社』の境内の一部を徳川家康から寄進され、この地で再興を果たしました。国宝の長谷川等伯障壁画は秀吉が建立した『祥雲寺』に描かれたもの。

広大な境内に点在する約20の堂塔伽藍(建造物)は江戸時代~現代にかけて度々焼失し、本堂(金堂)は1975年(昭和50年)の再建、名勝庭園をのぞむ講堂(方丈殿)も1995年(平成7年)の再建と比較的新しいですが、真言宗智山派の総本山として多くの参拝者を集めます。
有名な所では『成田山新勝寺』や高幡不動こと『高幡山金剛寺』、『川崎大師』や『大須観音』などが真言宗智山派。

“利休好みの庭”“東山随一の庭”と伝わる国指定名勝の庭園は、講堂・大書院から眺める池泉鑑賞式庭園。その千利休が生きた豊臣家ゆかりの寺院だった桃山時代の庭園を基に、江戸時代前期の1674年(延宝2年)智積院7代目住職・運敞僧正の指揮により現在の庭園に改修されました。

東山麓の斜面の地形を活かした築山と横長の広い池泉による庭園は中国の廬山・長江の景を表現したものとされ、斜面に植わったツツジ・サツキが花を咲かせる4月下旬~6月初旬に一年の見頃を迎えます。夏にはサルスベリのピンクの花も◎。縁側が水面にせり出すぐらい前面に出てるのも良き。

大書院の中庭には小規模ながら石庭が、そして建物西側にはツツジ・サツキの刈込と一文字型手水鉢が印象的な枯山水庭園が。このうち中庭の石庭は多くの古庭園の修復も手がけた徳村盛市さん率いる庭匠植清の作庭。
講堂の印象的な襖絵は現代の画家・田渕俊夫によるもの、そして非公開の宸殿には堂本印象の障壁画も。

講堂周辺の庭園以外にも境内には現代に作庭された庭園も点在します。四条寺町の浄土宗の名刹・大雲院の本堂を移築した“明王殿”沿いの池泉回遊式庭園や、宿坊“智積院会館”前の庭園など。庭園は“紅葉の名所”と言う程ではないけど、境内には紅葉林エリアも。四季訪れたいお寺さん。

(2017年8月、2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR東海道新幹線 京都駅より徒歩20分
京阪本線 七条駅より徒歩10分
最寄りバス停は「東山七条」バス停 徒歩2分

〒605-0951 京都府京都市東山区東瓦町964 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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