茅ヶ崎館

Chigasakikan Ryokan Garden, Chigasaki, Kanagawa

巨匠・小津安二郎、是枝裕和など映画監督に愛された老舗旅館。大正時代の近代数寄屋風建築が国登録有形文化財。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

茅ヶ崎館について

【施設利用者向け】
「茅ヶ崎館」(ちがさきかん)はJR茅ヶ崎駅から茅ヶ崎海岸・サザンビーチ茅ヶ崎への道すがらにある老舗旅館。小津安二郎監督や是枝裕和監督など文化人/映画人に愛される宿であり、大正時代のである広間棟・中二階棟・長屋棟・浴室棟の4棟が

ホテル予約サイトでは出てこない文化財宿。2021年10月に関東を訪れた際に初めて宿泊しました!自分の場合は知ったきっかけが映画人ではなく、『湘南邸園文化財』の会場になってた事から。関東在住の頃には“茅ヶ崎で泊まる”という動機が無かったのだけれど…関西に越してきてから、「関東へ行く時に泊まろう!」と思い続けてた場所でした。

一泊素泊まりで6,800円~(小津監督ゆかりの“二番の部屋”でも8,800円)なので、「それなら泊まってみたい」と思う方が他にも居るのでは。食事つきの場合は小津監督ゆかりの“カレーすき焼き”のプランも。

創業は1899年(明治32年)。近代にの別荘地・保養地として発展した茅ヶ崎と共に歴史を重ね、茅ヶ崎に別荘を構えた川上音二郎・川上貞奴夫婦の稽古場になったことも。

昭和初期に『松竹』の撮影所が蒲田から大船に移転すると、茅ヶ崎にも多くの映画人が訪れるようになりました。その中で茅ヶ崎館と最も所縁深いのが巨匠・小津安二郎監督。
脚本を執筆するための仕事場として、庭園を見下ろす離れの“二番の部屋”にたびたび長期滞在。野田高梧、柳井隆雄、池田忠雄各氏と共に『父ありき』『長屋紳士録』『風の中の牝鶏』『晩春』『宗方姉妹』『麦秋』『お茶漬けの味』 『東京物語』『早春』といった作品をこの部屋から送り出しました。

また平成年代にも是枝裕和監督や森崎東監督西川美和監督などが茅ヶ崎館で執筆活動を行うなど映画人に好まれ、2006年にはハチクロ(『ハチミツとクローバー』)映画のロケ地に、2019年公開のドイツ映画『命みじかし、恋せよ乙女』の撮影では樹木希林さんが亡くなられる最後の撮影はこの茅ヶ崎館が舞台でした。(女将さんから「その椅子に座ってたんだよ」とご案内いただけた)

今回は二番のお部屋…は別の方が泊まられていたので泊まれなかったけど、同じく離れのお部屋をご案内いただきました。廊下や部屋の窓・戸こそ現代のアルミサッシに置き換わっているけど、随所に数寄屋風の意匠が見られる近代和風建築の旅館で、浴室棟も浴槽まわりはなんだけど、天井は傘天井と和洋折衷。

かつて小津監督も散歩をされた庭園は、芝生の広場を主体とする中にマツやツツジやサツキの刈込、小津監督が好んだ金雀枝などが植わっている和風庭園。昔は海岸線まで見渡せたそうだけど、現在は周辺が住宅街になってることもあって樹高が高く保たれ、かつての眺望は味わえない(仕方ない)。一番の見頃は庭に花々が咲く5月かな~。

ところで、公式サイトには《市川団十郎や川上音二郎の別荘を筆頭に歌舞伎芸能役者、文人や脚本家が集まりはじめます大正時代からは映画関係者が住むようになり、その二世三世が現在の湘南ミュージックを創造しています。》とある。

なぜあえて「ミュージック」縛り…?超有名どころでは何と言ってもサザンオールスターズ・桑田佳祐さんなのだけど、Suchmosのボーカル・YONCEさんが茅ヶ崎出身で茅ヶ崎館でミュージックビデオの撮影も行われています。ありがとう…(お庭の)木々たちよ…。

(2021年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR東海道本線 茅ヶ崎駅より徒歩15分強

〒253-0055 神奈川県茅ヶ崎市中海岸3丁目8-5 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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