朝倉義景の妻の館に作庭された、室町時代の庭園では日本一の滝石組を有する、朝倉遺跡で最も大規模な池泉回遊式庭園。
一乗谷朝倉氏遺跡 諏訪館跡庭園について
「一乗谷朝倉氏庭園」(いちじょうだにあさくらしていえん)は国の特別名勝に選ばれている戦国大名・朝倉氏の館跡に残る庭園群。
戦国時代、越前朝倉氏の城下町として100年の歴史を築いた一乗谷。室町時代の終わりに織田信長軍によって滅ぼされ一帯が焼き払われて以降、約400年間に渡り再開発されることなく現代を迎えました。それにより室町時代に作庭された庭園の遺構(石組など)が良好に保存されていた…というか埋もれていたことから、「朝倉館跡庭園」「湯殿跡庭園」「諏訪館跡庭園」「南陽寺跡庭園」の4箇所が国の特別名勝となっています。
朝倉義景の館に作庭された『義景館跡庭園』の紹介はこちら、朝倉孝景の時代に作庭された一乗谷で最も古い庭園『湯殿跡庭園』はこちら、室町幕府将軍・足利義昭をもてなす為に作庭されたと言う『南陽寺跡庭園』はこちら。
「湯殿跡庭園」から更に奥にあるのが『諏訪館跡庭園』(すわやかたあとていえん)。「諏訪館」は朝倉義景が妻「小少将」のために造営した館と伝わります。なのでこの庭園の作庭は「義景館跡庭園」「南陽寺跡庭園」と同時期の作庭ですが、4つの名勝庭園の中で最も規模の大きい豪壮な庭園!
石組のかっこよさは他の3箇所と変わらないのですが、こちらは上段部と下段部で構成されている池泉回遊式庭園となっていて、上段には山からの湧水が下段の池泉に流れていく水路も整備されています。
庭園の中央は4メートルもの巨石を中心とした滝石組が配されていて、これは日本最大級と言われるとも(現代ではもっと大きいものがあってもおかしくないけど、現存する室町時代の庭園の中ではそうかも)。
この巨石には歴代城主・朝倉貞景、朝倉孝景の供養のために江戸時代末期に刻まれた法名も残るそう。巨石の傍にある樹木はヤマモミジ。今回訪れた3月は落葉していて…上段の石組まで見通せましたが、秋には美しい紅葉とこの石組が楽しめます。その時期にも観に来てみたい…!
なお「諏訪館跡」から少し高台へ登ると、初代一乗谷城主・朝倉孝景の墓所「英林塚」があります。初めて一乗谷へ訪れた8年前のブログを読み返すと、諏訪館跡あたりから見下ろした場所がちょうど発掘作業中だったんだよなあ。現在「米津」と示されている辺りかも。
一帯は「一乗谷朝倉氏遺跡」として国の特別史跡でもあり、吉永小百合さんが出演したSoftBankのCMロケ地になったことでも知られます。朝倉氏庭園として名勝指定を受けているのは4箇所だけですが、発掘された庭園の数は15箇所にも登るとのこと…次回は名勝指定受けていない遺構もチェックしたい!
(2011年3月、2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR越美北線 一乗谷駅より約2km(徒歩30分強・駅前の資料館にレンタサイクルあり)
JR福井駅より路線バス「武家屋敷前(復原町並)」バス停下車
〒910-2153 福井県福井市城戸ノ内町 MAP