嵐山・渡月橋からすぐ。京都の豪商・角倉了以の邸跡に開かれた旅館に残る、大名茶人・小堀遠州作庭と伝わる庭園。“京都を彩る建物や庭園”選定。
旅館 花のいえ庭園について
【施設利用者向け】
「花のいえ」は京都の代表的観光地・嵐山の桂川沿いに門を構える温泉旅館。江戸時代初期の京都を代表する豪商・角倉了以の邸宅や舟番所があった場所に建ち、その庭園は角倉と交友のあった大名茶人・小堀遠州の作庭と伝わります。江戸時代から残る離れ座敷「關鳩楼」(かんきゅうろう)は京都市民が選ぶ「京都を彩る建物や庭園」にも選定。
施設利用者のみ散策可能。宿泊の他にもお食事のみのプランもあります(要予約)。2023年『おにわさんと巡る庭園ツアー』で訪れた際の写真を追加しました。
京都市の繁華街を流れる鴨川の支流「高瀬川」。その開削者・角倉了以の邸宅の庭園としては明治時代に山縣有朋の邸宅にもなった『がんこ高瀬川二条苑』や同じ嵐山の『星のや京都』がありますが、ここもその一つ。
角倉了以は嵯峨の出身で、高瀬川よりも先に江戸幕府の許可を得た上で保津川(桂川・大堰川)の開削事業を手掛け、京都の水運の発展に尽力されました。その拠点となる別邸が置かれたこのがこの地。
時は流れて1951年(昭和26年)に「公立学校共済組合嵐山保養所」として開業したのが「花のいえ」。現在のメインの建物は昭和年代に建築されたRC造で、その後平成年代にかけても改修工事されたものですが、食堂として用いられている離れ座敷「關鳩楼」(かんきゅうろう)別名「ごてんの間」は江戸時代から残る歴史的建造物。その扁額は江戸時代初期の儒学者・林羅山によるもの。
そして關鳩楼の周囲の枯山水庭園は江戸時代初期の代表的な作庭家・小堀遠州の作庭とされます。散策しやすいよう現代に改修されているので、所々新しさが感じられる庭園ではありますが、苔むした築山と枯流れ、切支丹灯籠などのある中庭は江戸時代からの姿を多く留めているそう。『高瀬川二条苑』にも小堀遠州の庭園の遺構があるので、江戸幕府の作事奉行だった小堀遠州と京都で河川を開削した角倉了以は豪商/武将という間柄や建築土木関係で親密な繋がりがあったんだろう。
また玄関入ってすぐの場所には茶室「遊心亭」があり、その脇にあるムクロジの木は樹齢300年(角倉家の屋敷の頃に植樹された?)とも言われ、京都市の“巨樹・名木”の一つとしても挙げられます。その他には江戸時代中期の画家・長澤蘆雪の書画(京都市有形文化財)も所蔵。
晩春〜初夏は一面青もみじに包まれた庭園の姿を、秋にはこれがグラデーション~そして一面の紅葉する姿を堪能できます。特に關鳩楼の縁側から庭園を眺めるとモミジの奥には借景の嵐山が!京都で『由緒ある庭園のある宿』に泊まりたい方はぜひ利用されてみて。
(2021年4月、2023年5月・11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅より徒歩8分
嵐電 嵐電嵯峨駅より徒歩4分
阪急嵐山線 嵐山駅より徒歩13分
最寄りバス停は「角倉町」バス停 下車すぐ
〒616-8382 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺角倉町9 MAP