天野山金剛寺本坊庭園

Amanosan Kongoji Temple Garden, Kawachinagano, Osaka

南朝方の拠点が置かれ国宝や国重文を多く所蔵する寺院に、室町時代に作庭された苔の美しい枯山水庭園。

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天野山金剛寺・観蔵院庭園について

「天野山 金剛寺」(あまのさんこんごうじ)は奈良時代に聖武天皇の勅願により行基により開かれた古刹。
平安時代には弘法大師空海の修行の地にもなり、南北朝時代には後村上天皇が金剛寺に現存する“食堂”で朝廷を運営するなど南朝方の拠点に。その後も京と高野山を結ぶ高野街道の当地を代表する大寺院として興隆しました。
河内長野市の歴史遺産で構成された日本遺産『中世に出逢えるまち~千年にわたり護られてきた中世文化遺産の宝庫~』にも含まれ、境内全体も国指定史跡となっています。“女人高野”という愛称も。

2019年夏、高野山へ向かう途中に初めて河内長野で途中下車、以前から行きたいと思っていたこちらの庭園に立ち寄りました!駅から離れていてバスでしか行きようがないかなあ…と思っていたけど、実際距離を調べたら河内長野駅から6km程。観光案内所では電動アシスト自転車が借りられるので、(行きは結構上り坂もあるけど)意外とスムーズに辿り着けた。

金剛寺は有料拝観区域は国指定重要文化財の伽藍が立ち並ぶエリアと、庭園が見られる本坊・観蔵院エリアと2つに分かれています。
まずは平安時代〜室町時代に建立された多宝塔、御影堂、五仏堂、金堂、食堂、鐘楼などの伽藍から観賞。このうち五仏堂以外は全て国重文。なお金堂には国宝の仏像・木造大日如来坐像、木像不動明王坐像、木造降三世明王坐像が収められており、これらは春と秋に数日間のみ特別公開されます。金剛寺が所蔵している文化財では『日月四季山水図屏風』も2018年に新たに国宝になりました。こちらも前述の仏像と同じく春秋に特別公開。
2019年の『秋の国宝特別公開』の詳細はこちらから

そして多くの建造物が国登録有形文化財となっている本坊(観蔵院)に庭園があります。なお金剛寺は南朝側の拠点であったのと同時に、北朝方の光厳上皇、光明上皇、崇高上皇らがこの本坊の奥殿を“北朝御座所”として滞在されたこともあったそう。緊張感ある関係の割に超至近距離。

広い範囲が美しい苔に覆われた枯山水庭園はパンフレットでは“草行山水自然形の庭園”と説明があります。この表現初めて見た。
室町時代に作庭され、その後桃山時代に阿波国徳島藩主・蜂須賀家政が改修、そして江戸時代に雪舟流の家元・谷千柳が現在の姿に改修したとされます。谷千柳という名前は初めて見たけど、広島県尾道市の国指定名勝『浄土寺庭園』は水墨画家でお馴染みの雪舟の子孫・長谷川千柳の作庭と言われる――雪舟と千柳という2つのワードだけ見ると同一人物なのかな?

苔の中にあるツツジ・サツキの刈り込みや飛び石の雰囲気は浄土寺庭園に似ている感じは確かにするし――(庭園全体としては全然違うけど)、その中に時折、石組により亀島や枯滝石組などが表現されています。歴史からしても府や国の名勝であってもおかしくなさそうな庭園…!かつては『観蔵院庭園』という名称でなにかしらの名勝だったようなのだけれど…解除されたのかな。

本坊には庭園以外では宝物殿があり、その中では国重文クラスの仏像や書物などの文化財が展示されています。先の伽藍と本坊、絶対両方見た方が良いので共通拝観券がオススメ!

(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近鉄長野線・南海高野線 河内長野駅より約6km(駅前にレンタサイクルあり)
河内長野駅より路線バス「天野山」「門前」バス停下車 徒歩5分

〒586-0086 大阪府河内長野市天野町996 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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