東海道五十三次“由比宿”本陣に残る庭園は大名茶人・小堀遠州作庭と伝わる枯山水庭園&家康手植えの松にちなみ山岡鉄舟が命名した“松榧園”。
由比本陣公園 御幸亭庭園について
「由比本陣公園」(ゆいほんじんこうえん)は東海道五十三次16番目の宿場町“由比宿”のかつて本陣が置かれた場所に開かれた公園。歌川広重の浮世絵コレクションが見逃せない『東海道広重美術館』のほか、園内にある和風建築「御幸亭」には大名茶人・小堀遠州の作庭と伝わる庭園が残ります。
施設自体は非文化財ですが、日本遺産『日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅 ~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~』の構成文化財として選定。
JR由比駅と蒲原駅のちょうど中間あたり。文化財こそ国登録有形文化財の近代建築「清水銀行由比支店本町特別出張所」ぐらいしかない由比宿ですが、町家・商家風の民家が多く残りいかにも宿場町!って雰囲気を強く残します。
そんな宿場町の中心にそびえる物見塔と歴史あるお屋敷を思わせる門構え。平成のはじめに開園した由比本陣公園は休憩施設/地元の名産品を扱うショップ/地元の方々の作品展示のための『東海道由比宿交流館』、歌川広重の作品を中心に約1,400点もの浮世絵を収蔵・展示している『東海道広重美術館』、そして『由比本陣記念館 御幸亭』とその庭園、芝生広場などで構成。
芝生広場の中にも日本庭園風の石積などが残されているのですが、歴史的な庭園としては「御幸亭」の前庭と奥庭。
御幸亭は明治天皇が行幸された際に御小休された本陣の離れ座敷を復元したもの。昭和年代までこの地に残されていた離れ座敷を元に、ところどころ新しくなっている…のですが、それが現代数寄屋建築らしさがあってすごく良い!
その座敷の奥にある枯山水庭園は京都を中心に各地に名庭園を残している大名茶人・小堀遠州の作庭と伝わります。もし本当にそうと仮定したら江戸時代初期からの歴史ある庭園。小堀遠州自身は『駿府城』の普請奉行を担当してるし、江戸時代に由比本陣を営んだ由比家は安土桃山時代からこの地にお屋敷を構えていたそうだから、遠州もきっと立ち寄っていたんだろう。
上段部分にある建物(非公開)への階段や園路は後から改修された姿だと思うけど、庭園中央には枯滝石組の姿も。
そして「御幸亭」の前庭の池泉回遊式庭園は山岡鉄舟により命名された“松榧園”(しょうひえん)。ということはこちらも江戸時代〜明治時代には存在した庭園で、建築から見て正面に位置する主木のマツは徳川家康御手植えのマツとも言われます。
この池泉の注水口は御幸亭の中にある茶室“結仁斎”(京都の世界遺産『銀閣寺』の国宝の書院“同仁斎”にちなんで名付けられたもの)の前の“流れ”から流れ落ちている。 今の「御幸亭」は石積み&コンクリートの基礎の上に建っていて、この池泉庭園と茶室〜遠州の庭園がそれぞれ別々のものって感じになってるけど。元々はこの高低差を回遊することを意図した整えられていたんじゃないかな…。あと建築は元々は懸造とかだったんじゃないかな…?
平成年代に開園した“現代の公園・和室”としての新しさはあるけど、ここまでちゃんと歴史的庭園の面影を感じられる「歴史公園」ってあんま無いかも(建築も庭園も“復原”だったら文化財級だったのでは…)。広重美術館含めて満足度高い。
由比宿交流館の中では春・秋の桜えびの漁期に活きた桜えびの泳ぐ姿が見られるとか…由比宿はほんと桜えび屋さんだらけ。桜えびだけでこんなに店舗展開できるのかと思う程。庭園鑑賞した後はぜひさくらえびも。
(2022年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR東海道本線 由比駅・蒲原駅より徒歩20分強
由比駅より自主運行バス 由比・蒲原病院線「由比本陣公園前」バス停下車すぐ(本数少ない。詳細は→こちら)
〒421-3103 静岡県静岡市清水区由比297-1 MAP