谷口吉生設計の現代建築の中に父・谷口吉生の手掛けた赤坂離宮和風別館“游心亭”の再現。水鏡の美しい庭園も。
谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館について
「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」(たにぐちよしろう・よしおきねん かなざわけんちくかん)は世界的建築家・谷口吉生の設計で2019年7月に新たに開館したミュージアム。その名の通り、谷口吉郎・谷口吉生親子の実績を顕彰・アーカイブしつつ現代建築に関する展示をしています。
2020年9月の北陸旅行、行きたかった場所は粟津温泉だったり富山だったり幾つかあったけど、金沢で立ち寄ろうと思っていたのはここ(と、2020年にレアンドロ・エルリッヒの新作を引っ提げて新たにオープンした『KAMU kanazawa』)。
国の重伝建地区“寺町台重要伝統的建造物群保存地区”やにし茶屋町から近くのこの場所はかつての谷口吉郎の生家跡。『東宮御所』や『東京国立博物館』東洋館などを手掛けた谷口吉郎は金沢市名誉市民の第一号。前述のような有名建築を手掛けただけでなく、地元の金沢においては日本ではじめての「景観保存条例」の制定に尽力しました。
現在も活躍中の建築家の名を冠した施設ではありますが、金沢市の公共施設(っぽい)。金沢市は『兼六園』のような大名庭園をはじめ、長町武家屋敷や東西の茶屋町など“江戸時代の城下町”を感じられる資源を有しつつも、金沢21世紀美術館に『鈴木大拙館』(こちらも谷口吉生建築)など現代建築が楽しめる街でもある。
この施設の目玉と言っていいのが、谷口吉郎の手掛けた東京『赤坂離宮 和風別館“游心亭”』の大広間・茶室の再現。赤坂離宮和風別館は完全予約制で月2回程度公開されていますが、庭園は撮影可だったけれど建物内(坪庭含む)は撮影不可だったのよね。そうそう、茶室こうだったな~!と思いながら。そのままのスケールで再現されているのがすごい。
大広間の写しから眺められるのが、モミジの“水鏡”が楽しめる現代風庭園。谷口吉生建築では鈴木大拙館でも、『GINZA SIX』や『豊田市美術館』でもこのような水盤の庭園がありますね。その先の借景には卯辰山の景観。
今回開催されていた企画展『日本を超えた日本建築 ―Beyond Japan―』では、安藤忠雄・磯崎新・伊東豊雄・隈研吾・SANAA・谷口吉生・坂茂・槇文彦(50音順にした)という世界でも活躍する建築家の、各国に残した建築の模型や映像が見られる展示でした。
今後は同じ谷口吉生建築である東京や京都の国立博物館やMoMAとの交流・連携を目指していくそう。金沢に居ながら建築をキーにして世界と繋がれたら素敵な話だな~。
そうそう、石川県の素晴らしい谷口吉生建築で外せないのは加賀の『片山津温泉 総湯』。海にせり出すようなロケーションはまるでリゾートホテル(だけど町湯なので450円で入れます。温度がむっちゃ暑くて長く入ってられないけど…)。また行きたいなー!
(2020年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸新幹線 金沢駅より約3km弱(徒歩35分。市内各地にレンタサイクルあり)
金沢駅より路線バス「広小路」バス停下車徒歩5分
〒921-8033 石川県金沢市寺町5丁目1-18 MAP