“萩往還”沿いに明治時代に建築された酒造商家の邸宅と、山口町家の庭園と“酒樽茶室”。国登録有形文化財。
山口ふるさと伝承総合センター(旧野村家住宅)について
「山口ふるさと伝承総合センター」(やまぐちふるさとでんしょうそうごうせんたー)は“西の京”山口の嘗ての中心地で国指定史跡『大内氏館跡』のすぐ西、萩往還の通り沿いにある施設。
通りに面した商家『旧野村家住宅』は明治時代建築の主屋・土蔵が国登録有形文化財となっています。
この建物の前はこれまでも何度か通り掛かっていたけど、ちゃんと見たことがなかった。2021年7月の時点では旧野村家住宅の主屋は修復のため閉館していたけど、それによって?通り沿いに掲げられた「酒樽茶室 公開中」の案内で「酒樽茶室なんてあったのか」と知って初鑑賞。
まず「山口ふるさと伝承総合センター」のこと。開館は1991年(平成3年)。酒造業を営んでいた野村家の当時の当主・野村益次から1886年(明治19年)に建築された母屋と醸造場のあった敷地一帯を山口市に寄贈。その活用方法として、長寿社会への対応事業の一環として保存整備~活用されることに。
なので名前からは一見「観光客向けの体験施設なのかな」と思えるけど(※実際、観光客向けの山口市の伝統文化の体験メニューもあるけど)、そうではなく市民向けの体験教室がメイン。と言っても『市民であっても現代を生活していたら体験できない地域の伝統文化』って沢山あり、そこに焦点が当てられている。
建物としては3つあり、平成年代に新築された「たくみ館」、旧野村家住宅を活用した「まなび館」、そして明治時代の屋敷の一部を移築した「みやび館」…みやび館に気づいてなかった。そちらにも茶室があるようなので次回はそちらもチェックしよう…。
今回はまなび館の内部は見学できなかったけど、主屋に面した庭園は歩くことができた。文化財になっているホテル・旅館の庭園や大内氏・雪舟ゆかりの室町時代の庭園とはまたタイプの異なる、“山口町家の庭”。
その飛び石の感じがどこに近いかと言えば『露山堂』の庭園で、飛び石は酒樽茶室の躙り口へと向かってゆきます。
そして酒樽茶室。造られたのは戦後だそうなので、庭園が現在の形になったのも戦後なんだろう。(イコール、出雲流庭園⇒萩⇒山口と伝わってきた庭園スタイルが昭和半ばまでは残っていた…?)
これまで京都『しょうざんリゾート庭園』や岐阜『松井屋酒造場』の庭園で酒樽茶室を見たけれど、同じようでどれも違うデザインなのは面白いなあ。酒樽茶室と向かい合った築山の上が真っ平になっているのも気になる。野点でもしていたのかな。
主屋と同じく国登録有形文化財の土蔵の中では山口・一の坂川の名物、ゲンジボタルが人工飼育されていて、その様子を見学することもできます。土蔵もそんな活用法があるんだな…!
(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)