かの雪舟や江戸時代の儒学者・頼山陽や足跡も残る、“新日本三景”“日本三大奇勝”に挙げられる九州の代表的な景勝地。国指定名勝。
耶馬溪について
「耶馬渓」(やばけい)は“日本新三景”“日本三大奇勝”等に名の挙げられる九州を代表する絶景。その名は江戸時代後期の代表的な儒学者/文人・頼山陽が当地で詠んだ《耶馬溪山天下無》に由来し、今日では全国に美しい渓谷を耶馬渓に喩えた「◯◯耶馬」があります。国指定名勝。日本遺産『やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく』構成文化財。
福岡県と大分県の県境にある霊山『英彦山』から発し、中津市の市街地の西部から周防灘へと流れ出る一級河川「山国川」。そんな山国川の上流~中流エリアには奇石・断崖絶壁・岩窟のある渓谷が続く絶景が広がります。
江戸時代の1818年、大分・日田の儒学者・広瀬淡窓に会いに『咸宜園』を訪れた頼山陽。その帰路として通過した山国川渓流の山水画のような景観に感動し、翌年「耶馬溪図巻記」を制作。山国川の“やま”に“耶馬”の字を当てた所から、やがてこの景観が耶馬渓と呼ばれるようになりました。
その奇石が広がるエリアは南北32km/東西36km…と広大で、その中に“耶馬渓六十六景”と呼ばれる絶景/ビューポイントが設定されていますが、ここでは一部のみ紹介。
■本耶馬渓/競秀峰の景(1~2枚目)
中津の市街地から10km強の場所に位置する、耶馬渓の入口でもあり代表的なスポット。江戸時代に僧によって岩壁を手彫りで掘られたという「青の洞門」の対岸にはネモフィラ畑があり、春にはネモフィラと競秀峰の風景が楽しめます。
また青の洞門の北側にある、石積のアーチが美しい「耶馬渓橋」(通称・オランダ橋/3枚目)も日本最長のアーチ橋として国指定重要文化財。2024年現在は、2023年の豪雨被害により修復中。
■立留りの景、平田城跡の景
先に紹介した『平田邸』(平田氏庭園)のある平田集落からは耶馬渓六十六景のうち、立留りの景、平田城跡の景などが楽しめます。
■岩洞山の景(8~9枚目)
尖った岩山の麓がくりぬかれ、その中には観音堂が鎮座。その岩山は観音菩薩に見立て「補陀落岩」と呼ばれます。現在の観音堂は先の平田邸の施主・平田吉胤による寄進で近代の再建。
■筆擲の景(擲投峰/13~15枚目)
標高こそ他の山と比べて低いながら、横長に奇石の岩壁が連なる様は頼山陽は《店石壁に面し数竹の飛泉 これに懸かる、仰げば即ち 更に高峰有り。》(あまりの景色の美しさに描き表すことができず、思わず筆を投げ捨ててしまった)と記したとか。耶馬渓の観光拠点・耶馬溪サイクリングターミナルから比較的近く。
そのほか耶馬渓で有名なのは「一目八景」のある深耶馬渓で、こちらも紅葉の名所としても人気。
そして耶馬渓エリアには前述の国登録名勝『平田氏庭園』、中津市指定名勝『雪舟庭』、国指定重要文化財『神尾家住宅』と耶馬渓の景観を活かした日本庭園や文化財も残されています。耶馬渓地域の歴史的庭園もぜひ巡ってみて。
(2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)