和歌山城 西之丸庭園(紅葉渓庭園)Wakayama Castle Nishinomaru Garden, Wakayama

紀州徳川家の祖・徳川頼宣が自らの隠居所に作庭した大名庭園。武将茶人・上田宗箇による作庭説も?国指定名勝。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

和歌山城西之丸庭園(紅葉溪庭園)/茶室“紅松庵”について

「和歌山城西之丸庭園」(わかやまじょうにしのまるていえん)は徳川御三家・紀州徳川家の居城『和歌山城』に江戸時代初期に作庭された大名庭園。“紅葉渓庭園”とも呼ばれる紅葉の名所で、

2021年春に4年半ぶりに訪れました。これまであまりモミジの見頃は関係ない時期だったけど、今回は青もみじがきれいな季節!

紀州徳川家の初代・徳川頼宣が和歌山に入国したのは1619年(元和5年)。その後和歌山城の改修に取り掛かり、この西之丸庭園も頼宣が隠居所“西の丸御殿”とともに築いたもの。
…という説と、徳川頼宣の前の藩主・浅野幸長浅野長晟に仕えていた武将茶人・上田宗箇により作庭とも伝わります。紀州の青石を多用した豪快な二段の滝と石組は上田宗箇ほどの作庭家が手掛けたとあれば納得。(そして和歌山から安芸広島藩に転封となった浅野家と上田宗箇は当地で『縮景園』を造営。)

お城の堀ほどの深さのあるすり鉢のような急斜面の地形を巧みに活かした池泉回遊式庭園。頼宣が西の丸御殿を造営して以来、和歌山城の西之丸は藩主が数寄や風雅を楽しむ場所――要はパーティー空間。
徳川頼宣は表千家の四代目・千江岑宗左を“御数寄屋頭”として藩に召し仕え茶会を楽しみ、十代目藩主・徳川治宝もまた茶道に造詣深く“数寄の殿様”と呼ばれたとか。

庭園内の上段部にかつて存在した茶室“水月軒”と“聴松閣”、そして“御数寄屋”は現存しませんが、内堀にせり出すように浮かぶ“鳶魚閣”(えんぎょかく)はかつての面影を今に伝える。

そして御数寄屋があった場所にはパナソニックの創業者・松下幸之助(和歌山出身で名誉市民)により寄贈された茶室“紅松庵”が建ちます。
“紅松庵”は京都の数寄屋建築の名工・中村外二の施工、そして露地庭は『松下真々庵』も手掛けた松下の御用庭師・川崎幸次郎。この両名は同じく松下幸之助が寄贈した『国立京都国際会館』の“宝松庵”でもタッグを組んでいる。

歴史の話に戻って、大名の城郭内に作庭された庭園の中でも“屈指の名園”と評されたこの庭園も明治維新以後は荒廃(和歌山城は太平洋戦争で空襲の被害にも遭い、旧国宝の天守閣を焼失)。
昭和の中頃、1970年代に昭和の庭園研究の大家・森蘊さんにより3年の歳月をかけて復元整備。2006年(平成18年)にはその時の発掘調査や江戸時代の絵図を元に西之丸と二の丸を繋ぐ“御橋廊下”も復元され今日に至ります。

数ある大名庭園の中で、広い池泉を中心に沿えた築山泉水式庭園ではなく、急斜面を活かした険しい石組に頭上にはモミジが生い茂る、より山の景への渇望が感じられる自然風の紅葉渓庭園(海が近い立地だからこその欲望?)。青もみじも良かったけど次は紅葉のピークにも是非訪れたい!

(2014年1月、2016年10月、2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR紀勢本線 和歌山駅より徒歩25分
南海本線 和歌山市駅より徒歩15分
和歌山駅より路線バス「市役所前」バス停下車 徒歩2分

〒640-8146 和歌山県和歌山市一番丁3 MAP

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