殿ヶ谷戸庭園Tonogayato Garden, Kokubunji, Tokyo

大正時代に江口定條が“随冝園”と名付け、三菱財閥・岩崎彦弥太が別荘とした近代日本庭園。国指定名勝。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

殿ヶ谷戸庭園について

「殿ヶ谷戸庭園」(とのがやとていえん)はJR国分寺駅のすぐ目の前にある国指定名勝の日本庭園。三菱財閥・岩崎家の別邸だったこの庭園は東京都の多摩地区では唯一の国指定名勝庭園です。
これまで何度か訪れていますが、2019年5月に訪れた際の新緑の写真を更新!

現在は駅前という立地の良さですが、大正時代には田園地帯。三菱系の実業家であり後に満州鉄道の副総裁や貴族院議員にもなった江口定條が1913年(大正2年)に別荘を築造。その際の作庭を手掛けたのは赤坂の庭師『仙石』で、江口はその庭園を“随冝園”(ずいぎえん)と名付けました。

その後1929年(昭和4年)に三菱財閥・岩崎彦弥太(岩崎弥太郎の孫)が購入。津田鑿(つださく)の設計で洋風の邸宅や、現在まで残る回遊式庭園と茶室“紅葉亭”が整備されました。なお近代風の邸宅も食堂として使用されていた部屋が展示室として用いられています。

この津田鑿という建築家。同じく三菱財閥系の日本庭園『清澄庭園』に残る“涼亭”の設計者・保岡勝也とともに小岩井農場の聴禽荘を手掛けたり、千葉県富里市に残る国登録有形文化財『旧岩崎家末廣別邸』(非公開)の設計も担当した岩崎系のお抱え建築家だったみたい。

その庭園は武蔵野台地・国分寺崖線に沿った立地を活かした、高低差を楽しむ回遊式林泉庭園。上段エリアは芝地が広がり洋風の近代庭園の香りもしつつ、斜面を下り低地部へ向かうと孟宗竹や雑木林が広がり、そして崖下からの湧き水による“次郎弁天池”を中心とした池泉回遊式庭園へと至る。この湧水は東京都による「」にも選ばれています。
次郎弁天池の周辺にはモミジの木が多く、春には新緑、秋には紅葉の名所にも!庭園上段にある“紅葉亭”からはそのモミジに覆われた日本庭園を眺められます。上から見るか、横から見るか。

この武蔵野の自然を現代へと残す庭園も、昭和の中頃には開発計画が持ち上がったそう。その際に地域住民が保存を求める運動を起こし東京都が買収、公園として1979年(昭和54年)より公開に至りました。
そして2011年に国の名勝に。結果的にここより歴史の古い『清澄庭園』を差し置いて国の文化財になったのは、多摩地区のこうした“別荘庭園”の多くが失われてしまったことや、都心の大規模池泉回遊式庭園とは全く別のタイプの価値があるからなんだろうか。

都内の三菱財閥系が所有した日本庭園としては先の清澄庭園のほか、『六義園』『国際文化会館庭園』などがあります。また駅で言うと一応お隣の『江戸東京たてもの園』には三菱と並んで三大財閥の一つ・三井家の邸宅『三井八郎右衞門邸』が残されているので、併せてチェック!

(2013年5月、2016年10月、2017年11月、2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中央線・西武国分寺駅 国分寺駅より徒歩2分

〒185-0021 東京都国分寺市南町2丁目16 MAP

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