尾張徳川家二代目・徳川光友の隠居した大曽根屋敷をルーツとし、平成に再現された大名庭園。作庭は伊藤邦衛。
徳川園について
「徳川園」(とくがわえん)は尾張徳川家の二代目藩主・徳川光友が江戸時代初期に造営した隠居所・大曽根屋敷(大曽根別邸)をルーツとする日本庭園。現在の庭園は2001年〜2004年にかけて現代の造園家・伊藤邦衛さん設計により作庭されたもの。2020年夏、5年ぶりに訪れました!
徳川光友が移り住んだのは1695年(元禄8年)。その後、尾張藩の家老・成瀬家、石河家、渡邊家の所有を挟んで、明治時代以降は再び版籍奉還後の尾張徳川家の邸宅となりました。ちなみに石河家ゆかりの庭園が京都の『大雄院庭園』(京都の穴場の良い庭園)。
昭和初期の1931年(昭和6年)に19代目当主・徳川義親から名古屋市に邸宅と庭園が寄贈。一度一般公開に至ったものの、太平洋戦争の空襲により園内を焼失。その後は普通の公園だったそうですが、平成に入り“大名庭園”をイメージした池泉回遊式庭園として再整備されました。
伊藤邦衛さんは『北の丸公園』や『浜松城公園 日本庭園』など、なんとなく徳川家ゆかりの場所の造園を手掛けられている。
“龍仙湖”という池を中心とした回遊式庭園で、元々の敷地の高低差を活かして“大曽根の瀧”“龍門の滝”という二つの大滝が設けられています。“龍門の滝”との並びにある二階建ての「観仙楼」からは庭園を上から眺めることも。
このうち“龍門の滝”は東京・新宿区の現・戸山公園一帯にあった尾張徳川家の江戸屋敷(戸山屋敷)の跡から発掘された滝石を再利用したもの。その総重量、250トン!
その龍門の滝のそばにある“虎の尾”は園路に紅葉が覆いかぶさるエリアで、そのほか園内には5月に見頃を迎える牡丹園や6月初旬に見頃を迎える花しょうぶ園も。そして高台部には徳川光友の諡號「瑞龍院」から名づけられたお茶室もあります。
徳川園に隣接して徳川美術館や逢左文庫、ガーデンレストラン徳川園が併設されており、カフェ・バーとなっている“蘇山荘”やそれらの入り口となる“黒門”は空襲による焼失を免れた明治時代の徳川邸の遺構として国登録有形文化財。
…昭和初期に一度一般公開に至っているということは、“池に十六の船を浮かべた”という庭園の古写真も徳川美術館か逢左文庫には残っているのかもな。次行く時は探してみよう。
(2015年3月、2020年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR中央本線 大曽根駅の南口より徒歩10分
名古屋観光ルートバス“メーグル”「徳川園・徳川美術館・蓬左文庫」バス停下車すぐ
名古屋駅・栄駅より路線バス「徳川園新出来」バス停下車 徒歩5分
〒461-0023 愛知県名古屋市東区徳川町1001 MAP