武田信玄も保護した国重要文化財の仏殿と、鎌倉時代を代表する禅僧・蘭溪道隆が作庭した庭園。山梨県指定名勝。
東光寺庭園について
「法蓋山 東光寺」(ほうがいざん とうこうじ)は武田信玄の定めた“甲府五山”の一つで、鎌倉時代に鎌倉の大寺院『建長寺』を開いた当時を代表する禅僧・蘭溪道隆により再興されたと伝わる寺院。
蘭渓道隆により作庭されたと伝わる池泉鑑賞式庭園が山梨県指定名勝、そして室町時代に造られた仏殿が国指定重要文化財となっています。
2019年9月に3年ぶりの訪問。今回は山梨県甲府市のVivitBaseさんのウェブサイトに『実は世界的な庭園クリエイターが造った!? この秋行きたい、山梨県の庭園』といった記事でも紹介させていただきました。取材のご協力ありがとうございました!
お寺の歴史は更にさかのぼって平安時代後期、甲斐源氏の祖・新羅三郎義光(源義光。源義家の弟)により「興国院」を開かれたのがはじまり。蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)ほどの僧によって再興されることになったきっかけは、宋から来日した道隆が元国のスパイであるという疑いをかけられ、鎌倉から甲州へ配流になったことから。
戦国時代には武田信玄など武田氏に厚く信仰・保護され伽藍が整えられました。現存する国指定重要文化財の仏殿はその当時に造営されたもので、その後の織田信長による焼き討ちや、太平洋戦争時の空襲でも幸運にも仏殿だけが焼け残り、現代に至っています。
本堂の裏に残る山梨県指定名勝の庭園の特徴は山の斜面を利用しその中に配された無数の岩による石組。その構成が他に蘭溪道隆が関連した(作庭した)と伝わる信濃の『光前寺庭園』と共通性が見られるため、寺伝とあわせて蘭溪道隆による作庭と伝わります。
池にちょこんと浮かぶ舟石は、宋の“北宋山水画式庭園”においては当然ながら、国内においては日本最古の事例ではないか、とのこと。
“滝”の流れを表現した石組は、中国・黄河中流の滝「龍門瀑」を登った鯉が竜に化身するさまを表現しているもの。よく見ると右上の方には自然石による石橋が掛かっていたり、まさに古絵画を石組によって表現された庭園。現在はその背後は高木が立ち並んでいますが(すぐ後ろを道路が通っているのでそのための目隠しかな)、借景として見え隠れする山の風景も好き。
中庭の武田菱を表現した植栽も見どころだし、仏殿の周囲にも池泉庭園や枯山水庭園がある。更に2019年に訪れた時にもう一つ新たな枯山水庭園が出来ていて(15〜18枚目)。なんて名前の会社が施工したかわかりますか?とお聞きしたけど不明だった…石の感じが『青松院庭園』と似ているので同じ安山石を使っておられるのかな。本堂裏の庭園の発掘整備調査をされたのは『青松院庭園』を作庭した吉河功さんなので、その辺の関連性も気になるところ。
甲府駅から約3kmで甲斐善光寺も程近く。古い寺を巡る甲府観光をされる際にはオススメ!
(2016年7月、2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR身延線 金手駅、善光寺駅より徒歩15分
JR中央本線 酒折駅より徒歩20分
JR甲府駅より徒歩30分(甲府駅周辺にレンタサイクルあり)
〒400-0807 山梨県甲府市東光寺3丁目7-37 MAP