豊島美術館

Teshima Art Museum, Teshima, Kagawa

まるで“禅の庭”のような内藤礼のインスタレーション“母型/Matrix”…豊島の自然に溶け込む西沢立衛の建築とランドスケープ。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

豊島美術館について

【要事前予約】
「豊島美術館」(てしまびじゅつかん)は瀬戸内海に浮かぶアートの島・豊島の中核施設。瀬戸内海を一望する小高い丘の上に建ち、膜や殻のような建築の中ではアーティスト・内藤礼さんの作品『母型/Matrix』の一点のみが永久展示されています。建築の設計はSANAAの西沢立衛さん。

2022年春に6年ぶりに訪れました。庭園ではないけど、二度と同じ姿がない“水”“泉”を鑑賞するこの作品は“禅の庭”以上に“禅の庭”のような空間だなと思います。(今回は瀬戸内国際芸術祭2022の期間中に訪れたけど、平日で他に人が居ない時間を選んだので、より作品に没入できた…)

2010年の瀬戸内国際芸術祭にあわせて開館した豊島美術館。道路を挟んですぐ隣には大きな棚田のある風光明媚な場所に、《作品と建築とが調和した、一体的な空間体験、作品と建築と環境が連続し合う空間》(西沢立衛/東西アスファルト事業協同組合インタビューより)という意図の下で、“水滴”をモチーフとした自由曲線の、他に2つとない、柱のないコンクリート・シェル構造の建築が生み出されました。構造設計は佐々木睦朗さん、施工は直島の『地中美術館』と同じく鹿島建設

近年では『金沢21世紀美術館』での展覧会も記憶に新しい現代アーティスト・内藤礼さん(個人的には『東京都現代美術館』の個展にも足を運んだ)。この豊島美術館で展示されている“母型/Matrix”は代表作の一つ――この“水”“水滴”“泉”がモチーフの繊細さ極まりない作品、とりあえず体験して!という感じなのだけれど、大きな開口部から聞こえてくる風や木や鳥の音も常に“二度とない作品”を作り出している。『龍安寺の石庭』のような空間。

“庭園”という言葉が合うかはわからないけれど、建築を取り囲む園地・ランドスケープも“島と一体化した”美術館を構成する一部。棚田も休耕田になっていたのをアート・プロジェクトの一環で再生したものであり、美術館敷地内の植栽は全て豊島に自生していた雑草、野草で構成。丘からの瀬戸内海の風景を眺め、雑木林の中を歩き、アート作品へとアプローチする――ランドスケープを含めての“豊島美術館”。

瀬戸内国際芸術祭の期間外にはミュージアムショップでカフェ営業も。その空間を独り占めする贅沢を味わいたければ芸術祭期間外に訪れるのもオススメ!

(2013年1月、2016年3月、2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

豊島・家浦港より約4km(レンタサイクルあり)
豊島・唐櫃港より徒歩20分弱
家浦港・唐櫃港より路線バス「豊島美術館前」バス停下車 徒歩2分

〒761-4662 香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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