“BIWAKOビエンナーレ”展示会場やコスプレ撮影の会場として活用。“八幡瓦”を支えた瓦師・寺本仁兵衛の江戸時代から残るお屋敷と庭園。
寺本邸庭園について
【通常非公開/イベント開催時に公開】
「寺本邸」(てらもとてい)は国の重要伝統的建造物群保存地区『近江八幡』の町並みの一角に江戸時代から残るお屋敷。“八幡堀”のほとりに建つ近江八幡市立の『かわらミュージアム』に隣接。現在はコスプレ撮影も可能なレンタルスペースとして活用されています。
『ラコリーナ近江八幡』や『教林坊』をはじめとする寺院など「近江八幡市の庭園」は紹介していたけれど、近江八幡の中心部(重伝建地区)の町家・商家の庭園をちゃんと見たことがなかった。
2022年秋、国際芸術祭『BIWAKOビエンナーレ』で現代アートを楽しみつつ会場として活用された古民家の庭園も見学。そのうちの一つが寺本邸。
現在は観光地として人気の近江八幡の地場産業は“瓦”(八幡瓦)。豊臣秀吉の後継・豊臣秀次が桃山時代に築いた『八幡山城』の居館跡からは金箔瓦などが出土。江戸時代以降は秀次が整備した八幡堀沿いに瓦の工房が多く操業していたとか。
寺本家の初代・寺本仁兵衛は京都・深草の瓦師・寺本甚兵衛家から分家し、江戸時代の元禄年間にこの地に移住。“八幡瓦”を製造する初期の一軒という老舗だったそうで(1980年代に廃業)、『かわらミュージアム』も元は寺本家の瓦工場が起源なのだとか。
やがて空き家となった「寺本邸」。最も古い母屋部分は推定築180年(江戸時代後期)。玄関・土間や8畳+8畳の主座敷は割ときれいに修理されている一方で、障子が破れたままの部屋もあったり…でもそれもあえてそのままで、「廃屋・廃墟風のスポット」として活用しているのだとか。
今回のビエンナーレでは、邸宅内では坂本太郎(玄関)、秋永邦洋(主座敷)、米津真理奈(元茶室?)さんらの作品が展示。
で、今回は浅野暢晴さんの作品が展示された庭園。丸い伽藍石を入れながら庭園の奥の(屋敷内にかつてあった)茶室へと向かう庭園で、作風は近江五箇荘の“鈍穴流”に近いとも感じるし、それよりは寺本家のルーツの“京都風”にも感じる。
現在も公開されている庭園と比べると手入れが行き届いているとは言えないかもしれないけれど、空き家だったつい数年前まではもっと荒れていて、2016年より【滋賀県レイカディア大学 第37期園芸学科】の方々により整備が進み徐々に明るくなっている段階。
けっこう立派な石灯籠とかも残っていたりしたので…現代アート作品と比べてこの庭に興味を持つ人は少ないかもしれないけれど、商家の庭園としてはなかなかの規模。お屋敷と同じく地域の文化遺産(&撮影スポット)として活用が広まればと…!
(2022年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR琵琶湖線 近江八幡駅より約2.5km(徒歩30分)*駅にレンタサイクルあり
近江八幡駅より路線バス「八幡堀八幡山ロープウェー口」バス停下車 徒歩3分
〒523-0821 滋賀県近江八幡市多賀町738 MAP