庭園研究家/作庭家・森蘊が整備を手掛けた、彦根藩家老・脇家の屋敷の庭園。“日本で二つだけの武家式茶室”も。
天理教彦根分教会庭園について
「天理教彦根分教会庭園」(てんりきょうひこねぶんきょうかいていえん)は江戸時代、彦根藩の家老・脇家の屋敷に作庭された庭園をルーツとする池泉回遊式庭園。
2020年11月、彦根の寺院庭園を巡った際に初めて訪れました。2019年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された彦根市河原町芹町の町並みも何度か歩いたことがあったけど、その路地裏にこんな庭園があるとは知らなかった…。
けどあまり情報がないので…前述の“脇家の庭園だった”という情報は『NPO法人 彦根景観フォーラム』より引用させていただきました。なお彦根城内には「家老 脇家屋敷跡」の長屋門が残ります。
奈良県の白洲設計企画さんが大成建設時代に手掛けられた白亜の大神殿の奥に庭園があります。天理教の教会の庭園を訪れるのは福井県敦賀市の文化財庭園『幸若遺跡庭園』以来。
現在は周囲が住宅街ということもあってか高木で景観が隠されているけど、引きで見ると鈴鹿山脈の借景が見え、その洲浜や瓢箪型の大きな池泉を見ていると…ミニ仙洞御所みたいな印象を受ける。
芝生の園路など所々新しさを感じるので、現代に整備されたんだろうなとはこの時思っていたのですが。後日、庭園研究家:マレス・エマニュエルさん(京都産業大学准教授)のまとめた森蘊さんに関する研究報告書『昭和の作庭記』を読んでいたら、年表に【1978年(昭和53年)整備:天理教彦根分教会】の一文が!
昭和を代表する庭園研究家・森蘊。この庭園の少し前には京都の世界遺産『浄瑠璃寺庭園』や奈良の『円成寺庭園』という平安時代の浄土式庭園の修復を担当。この庭園は周囲の築山は江戸時代の面影を残しながら、池泉についてはその流れを汲んでいるのかもしれない。
庭園奥の築山の上に、“日本で二つだけの武家式茶室”という茶室「白露庵」があります。もう一つがどれを指すのか気になる…!
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)