天鏡閣庭園

Tenkyokaku Garden, Inawashiro, Fukushima

皇室の賓客食堂で特別なロイヤルティー&スイーツを。有栖川宮親王の別邸として明治時代に建立された国指定重要文化財の洋館/近代建築と庭園。

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天鏡閣について

「天鏡閣」(てんきょうかく)は明治時代に皇室・有栖川宮威仁親王により建立された別荘。その本館(洋館)に加え、別館・表門が国指定重要文化財。洋館の周囲には芝生主体の和洋折衷の近代庭園が広がります。

同じ国指定重要文化財『福島県迎賓館(旧高松宮翁島別邸)』も、元はこの別荘の和館として建てられたもの。天鏡閣は通年で一般公開されていますが、福島県迎賓館の特別公開に参加すると天鏡閣の豪華絢爛の賓客食堂にて紅茶とスイーツを楽しむことができます。「皇室の賓客食堂」での紅茶とスイーツ…贅沢&最高過ぎない…?

その歴史について。江戸時代から続く四親王家・有栖川宮家の10代目・有栖川宮威仁親王が1907年(明治40年)に東北を巡遊された際に猪苗代湖畔の風景の美しさを気に入り、別邸の造営が決定。その翌年の1908年(明治41年)夏に現在の本館が竣工。「天鏡閣」の名は竣工した翌月に滞在した皇太子時代の大正天皇の命名で、李白の句《明湖落天鏡》に由来するそう。

有栖川宮威仁親王が逝去された後は高松宮宣仁親王が有栖川宮が祭祀を継承、合わせてこの別邸も引き継がれました。大正時代には後の昭和天皇・皇后両陛下が新婚旅行として約1ヶ月間滞在。戦後にこの別荘と敷地は高松宮家から福島県に下賜され、昭和後期の修復を経て1982年(昭和57年)から福島県の施設として公開(その他イベントやロケ地として利用)されています。現在の上皇陛下、天皇陛下が訪れた事も。

ルネッサンス様式を貴重として、三階部分の八角塔屋が特徴的な本館。外観もオシャレですが内装がまさに豪華絢爛。白亜の壁面や漆喰、シャンデリア、絨毯、大理石のマントルピース、アニメの物語のような家具の数々…挙げはじめるとキリがないのでぜひその目で見てみて。

建築を囲んでいる庭園は全体的に芝生を主体としているのは洋風ながら、アプローチのモミジやドウダンツツジ、車寄せのマツ、南側庭園の池泉のデザインもどちらかと言えば和風庭園(飛び石~中島の意匠に頭上のモミジなど)…という和洋折衷の庭園。積雪地の猪苗代では少し遅い時期にソメイヨシノやあじさいなど四季の花々も楽しむことができます。

ところで、洋館ながら非対象/アシンメトリーな本館。北側庭園から見ると――日本建築のマスターピースの一つ『西本願寺 飛雲閣』のオマージュのようにも見えてくる…!?設計者は不明とのことですが、和風別館(福島県迎賓館)を手掛けたのは、宮内省の技師として皇居・御用邸など皇室関連の建築を数多く手掛けた木子清敬を父に持つ木子幸三郎。きっとその様な有力な方が関わっているのだろう…。ぜひ訪れて、ロイヤルティー&スイーツを満喫してみて。

(2010年3月、2023年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR磐越西線 猪苗代駅より路線バス「長浜」バス停下車 徒歩10分
JR猪苗代駅より約8km(駅前観光案内所にレンタサイクルあり)

〒969-3285 福島県耶麻郡猪苗代町翁沢御殿山1048-14 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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