建物殆どが国登録文化財の信濃を代表する豪商屋敷と、江戸時代中期に京の庭師による作庭の池泉回遊式庭園。
田中本家博物館庭園について
「豪商の館 田中本家博物館」(ごうしょうのやかた たなかほんけはくぶつかん)は江戸時代から代々須坂藩の御用達商人を務めた北信濃を代表する豪商・田中本家の屋敷と、その屋敷を利用した博物館。3,000坪という敷地の中には複数の庭園があり、中でも池泉回遊式庭園の“秋の庭”は江戸時代中期に作庭されたもの。また表門、主屋、客殿をはじめ、多くの蔵など20もの建造物が国登録有形文化財となっている、正に豪邸!
須坂市に初めて行きました!結果的にはこの邸宅と庭園が目的と言っても良いものだったんだけど、重森三玲の枯山水庭園のある『北野美術館』へ行く為のバスの出発地という目的や、蔵の古い町並みが残っている――という情報から。想像していた以上に蔵のある町並みが広い範囲に残っていて、レンタサイクルで走っていてとても楽しかったんだけど――須坂の前に行った小布施と比べて観光客が全く居なかったのは「なんでだろうなあ」と…。
その須坂の代表的な商家が「田中本家」。創業は江戸時代中期。幕末になる頃には当地の大地主となり、その財力は須坂藩を上回る――とも言われたとか。
博物館として開館されたのは平成のはじめで、土蔵を改修した展示室では代々の商取引の中で得た数々のアイテム…絵画、陶器・漆器、衣裳などが展示されています。その充実ぶりは誰が呼んだか「近世の正倉院」とも。
この博物館では建築や庭園も展示物の一部。展示室を抜けて主庭に向かうまでの間にも2階建ての離れや複数の土蔵の連なる路地、大名の屋敷!?と思うような(庭を隔てる)石垣などが。この小路にあった樹齢200年の枝垂れ桜は4月下旬が見頃で、今回のGWはちょうど花びらが待っている最中で美しかった。
そして主庭の“秋の庭”は江戸時代中期の天明年間(1780年代)に京都から庭師を呼んで作庭されたという池泉回遊式庭園。その名の通り花木は秋が見頃なんだろうな〜と思いますが、大谷山・坂田山の借景や巨石による飛び石、そして客殿2階まで積み上げられた岩組による築山、滝石組など……石だけ見ていると松代の『真田邸』よりも豪華かもわからんですね。須坂藩一つよりも財力を誇ったというのは大げさではないのかも…。
そして客殿とミュージアムショップの間の中庭は“夏の庭”と言われます。これはやはり樹齢200年とされる沙羅の木(ナツツバキ)が花を咲かせる6月中旬〜7月に最も見頃を迎えることから。その他にも敷地内には45種類もの蓮やヘブンリ-ブルーの朝顔など、夏頃に見頃を迎える花があるそう。
ちなみに…今回訪れたGWには客殿『清琴閣』で通常非公開の内部の特別公開が行われていたのですが――通常の入場料+1,000円の設定に大変迷って今回は見学せず……1,000円出してでも見るべきだったような気も大変しつつ……(予算を抑えた旅だったゆえ躊躇してしまった…。)皇室も訪れ、迎賓的な施設のこの客殿は明治時代の建築。丸窓に塗られている濃青の色が近代らしい組合せ。例年秋に特別公開があるそうなので――いつかその時期に訪れたい!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
長野電鉄長野線 須坂駅より徒歩20分強(※レンタサイクルは駅から徒歩7分の場所にある観光案内センターにあり)
須坂駅より路線バス「臥竜公園入口」バス停下車 徒歩5分
〒382-0085 長野県須坂市大字小山穀町476 MAP