“御船山楽園”と共に、江戸時代後期に鍋島藩武雄領主・鍋島茂義が築いた別邸の面影を伝える回遊式日本庭園。御船山の借景が◎!
武雄市文化会館庭園/迎田緑地について
「武雄市文化会館」(たけおしぶんかかいかん)は佐賀県武雄市に1975年(昭和50年)に開館した公共施設。かつては鍋島藩武雄領主・鍋島氏の別邸があった場所に建ち、鍋島邸だった江戸時代後期に作庭された日本庭園が残ります。無料で見学/散策可。
西九州新幹線・武雄温泉駅からもその姿がのぞめる、武雄市のシンボル的存在「御船山」。古代から地域で信仰されてきたこの山の麓に江戸時代後期に築かれた大名庭園が国の文化財にも登録されている『御船山楽園』(旧武雄邑主鍋島氏別邸庭園)。観光庭園としてツツジや紅葉の名所として県内外から多くの人が訪れるそちらから、御船山を挟んで逆側(北東部)に位置するのが武雄市文化会館。
『御船山楽園』を造営したのと同じ28代目武雄領主・鍋島茂義によってこの地に鍋島家別邸が築かれたのは1848年(嘉永元年)。その後、1868年/明治元年に本邸(文化会館の西側、現在武雄高校のある場所にあった)が火災で焼失したことに伴い、29代目領主・鍋島茂昌がこの別邸を「本邸」として移り住みました。
文化会館の建築に沿って横長に広がる庭園は1848年の別邸造営に伴って作庭されたもの。全編、西側にそびえる御船山を借景とした庭園で、東部は芝生の広場/中心部は背後に『迎田緑地』の自然の樹木を背景としつつ緩やかな斜面にツツジの刈り込みが多く植わったお庭(御船山楽園との類似性を感じる)/そして最も山に近い西部には池泉回遊式庭園と幾つかのゾーンに作風も分かれています。
春には椿〜桜〜シャクナゲ〜ツツジと咲く花もうつろい、秋には紅葉によってお庭が彩られます。
庭園の一角には鍋島藩(佐賀藩)藩政にも影響を及ぼした鍋島茂義の銅像が立ちます。またそれと並ぶ土蔵や、隣接する迎田緑地の林の中にたたずむ「黒門」は当時から残る数少ない建築遺構。
尚、『武雄市文化会館』は老朽化による建て替えにともなって2024年6月から長期休館中(庭園は散策可)。文化会館の設計を手がけたのは環境設計 H・A・N(現・ZEN環境設計)+三島建築設計事務所。福岡を拠点とするZEN環境設計さんは元々は「都市・造園研究所」というランドスケープの事務所からスタートした歴史があり、この庭園の再生・保存にも寄与…されているんじゃないかなぁおそらく…。
文化会館の表には樹齢2000年とも言われる大木、武雄市指定天然記念物の『塚崎の大楠』も。武雄の庭園巡りの際はこの庭園にも立ち寄ってみて。
(2024年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR西九州新幹線 武雄温泉駅から徒歩13分
武雄温泉駅から路線バス「武雄高校前」バス停より徒歩2分
〒843-0022 佐賀県武雄市武雄町大字武雄5538-1 MAP