京都の浄土宗総本山“知恩院”の奥院。国重文の伽藍のほか、池泉回遊式庭園“浄土庭園”、中根金作作庭の枯山水も。
當麻寺奥院庭園について
「當麻寺」(たいまでら)は飛鳥時代に聖徳太子の弟・麻呂古王によって創建されたと伝わる寺院。奈良時代に建立された三重塔“東塔”、平安時代に建立された“西塔”や“本堂”など建造物の多くが国宝・国指定重要文化財。
「奥院」(おくのいん)は当麻寺内で最大の塔頭寺院で、池泉回遊式庭園“浄土庭園”や『足立美術館庭園』の作者・中根金作が昭和年代に作庭した枯山水庭園“二河白道の庭”(にがびゃくどうのにわ)があります。2020年7月に約5年ぶりに訪れました!
南北朝時代の1370年に京都『知恩院』の12代住職・誓阿普観上人が戦乱の続いた京都から御本尊の“円光大師法然上人像”をこの地に移したことをきっかけに創建。当初は「往生院」という寺名。現在の「奥院」という名の名前も当麻寺内の奥にあるから…ではなく、浄土宗総本山知恩院として“奥之院”という意味合いで呼ばれるようになったそう。
先に法然上人像のほか、桃山時代末期〜江戸時代初期に建立された本堂(御影堂)、大方丈、朱色の鐘楼門が国指定重要文化財。鐘楼門付近からは国宝の東西両塔の眺望も。また宝物館では當麻寺の代表的な国宝『當麻曼陀羅』の写本の一つ「延宝本」のほか、法然上人像とともにこの地に運ばれた文化財などが展示されています。
奥院最大の庭園“浄土庭園”は西の方角にある二上山を借景とした、西方極楽浄土の世界観を表現した庭園。“宝池”へと至る渓流(倶利伽羅不動尊のある石組)から巨石が多く用いられているのが特徴的。
平安時代にかけて多く取り入れられた手法“浄土式庭園”ですが、この庭園は奇石も含めた様々な自然石が用いられているのがとても現代的(主に大分・湯布院の溶岩石が用いられているそう)。そして今回訪れた7月初旬には池中に多くの睡蓮の花が咲いていました。
そして境内全体で牡丹園の多い当麻寺の中で、奥院のボタン園は約3000株もの牡丹が植わっている最大の牡丹園で、例年4月末〜5月初旬に見頃。
また大方丈そのものの拝観は普段はできませんが(例年秋に特別公開)、塀の途中に穴が空いていてそこから“二河白道の庭”が眺められます…が、自分それに気づかず。今後訪れる方はそこからチェックしてみて。
(2015年5月、2020年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)