源平合戦ゆかりのお寺の、平敦盛・熊谷直実一騎討ちの場面を再現した枯山水庭園。源平ゆかりの宝物や史跡も。
須磨寺庭園“源平の庭”について
「須磨寺」(すまでら)は源平合戦ゆかりの地としても有名な寺院。「一ノ谷の戦い」の一場面として語り継がれている平敦盛・熊谷直実の一騎討ちの場面を表現した枯山水庭園“源平の庭”があるほか、数多くの文化財や源平ゆかりの史跡があります。
2020年、神戸市の西部・須磨を初めて訪れました。お目当ては『須磨離宮公園(旧・武庫離宮)』、『西尾家住宅』という近代の庭園群ですが、須磨の歴史に最も深く関わるこのお寺も初拝観。
須磨寺の歴史は古く、平安時代初期に淳和天皇または光孝天皇の勅命により創建。正式名称は「上野山 福祥寺」(じょうやさん ふくしょうじ)。
本堂は1602年に豊臣秀頼の命で片桐且元により再建されたもの。阪神大震災により被害を受けながらも、直近では2005年に修復を経ながら現在に至ります。堂内にある「福祥寺本堂内宮殿及仏壇」が南北朝時代(1368年)の建造物で国指定重要文化財。また御本尊は、平氏政権時に要職をつとめた武将・源頼政により安置されたとも。
一ノ谷の戦いの際に須磨寺は源義経の陣地(本陣?)だったとも言われ、境内には戦いで討たれた平敦盛の首塚やその首を洗った“敦盛首洗いの池”、それを眺めていた義経腰掛の松など、源平合戦ゆかりの史跡が多く残ります。平家物語において“平敦盛が吹いていた”とされる笛“青葉の笛”も所蔵。
徹底しているなあと思ったのが宝物館。こちらも一ノ谷の戦いに関する絵画(特に一騎討ちの場面)が多く展示されていて…中には討った張本人・熊谷直実(蓮生坊)の作による平敦盛像も。熊谷直実は平敦盛を討ったのちに敦盛の供養のために出家し、高野山に『熊谷寺』というお寺も残ります。京都『金戒光明寺』も直実ゆかりのお寺。
*個人的には人間国宝・芹沢銈介の一騎討ちの場面の作品に「おぉぉ!」と思いました。この方の作品が好きなので…。
そんな源平ゆかりのお寺に現代になり作庭された枯山水庭園が“源平の庭”。庭園内に平敦盛と熊谷直実の銅像が配されているという珍しい庭園。熊谷直実の背後の築山・石組では須磨海岸が表現され、当時熊谷直実の陣屋前に桜があったことにちなんだ(その桜に弁慶が《一枝を伐らば一指を剪るべし》という札をかけた)、桜の木も。
そのほか本坊・書院の周辺にも流れのある池泉庭園があります。境内は山へ向けて広く、さまざまなお堂・史跡があるので…ちょっと落ち着いた雰囲気の神戸観光に。
(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)