幕府や皇室の御殿医を務めた福井家の邸宅に明治時代に作庭された“竹径通幽庭”。京都の隠れた一級品の庭。
水琴亭さもん庭園について
「水琴亭さもん」(すいきんていさもん)は立命館大学から程近く、コンクリートのかっこいい社殿を持つ『熊野神社 衣笠分社』に隣接する喫茶店・お食事処。明治時代に作庭されたという池泉回遊式庭園があります。1月頃に自転車で通りかかって気になっていたお店。3月に初めて入店&庭園を散策。
食事&散策後にお聞きしたところ、別に庭園メインのお店ではないということで(お店のメニュー以外の)パンフレット等の用意は特にないそう。なので殆ど情報がない…。ただ、庭園は明治時代に作庭されたものだそうで、幕末~近代にかけて幕府や皇室の医師(御殿医)を務めていた福井家(福井貞憲)のお屋敷がかつてここにあり、この庭園も福井家の庭園として作庭されたもの。
現在もこのお店のオーナーは福井家であり、お隣の熊野神社衣笠分社も店舗・お庭と繋がっている(通用口がある)ので、建立に福井家の意向がだいぶ影響しているのだと思います。このかっこいい社殿は昭和の後期の建築。
庭園目線で見ると、
● 飛び石、延段、護岸で使われている岩の種類の多さ!
● 数多くの庭園のある京都の中でも、ここまでGLからかなり地面を掘り込んで主屋から見下ろすタイプの庭園は珍しい気がする(非公開庭園ですが、市名勝の『広誠院庭園』のような明治の別荘庭園がそういうタイプか…)
● 池泉庭園の石橋の更に奥の、橋のように架かっている石組がかっこよい
● 踏分石みたく使われている石の大きさ
● 飛び石が北側のコンクリートの壁にぶつかって終わるので、おそらくかつてはもっと広かった
● 待合らしきものも多く、かつては庭園を見下ろす茶室?以外にも茶室があったのかな、という感覚
などなどめちゃめちゃ気になるところが多い。
作庭に携わったのはなんていう庭師だったのだろうなー…今後調べられる機会があれば調べていきたい。
園内には『竹径通幽庭』という扁額が掛かっている。はてどういう意味だ。文化遺産オンラインに載っている江戸時代の無学宗衍による一行書「竹径通幽所」の説明(こちら)を引用すると、
竹が茂った小道を通れば奥深く、静かで心の渇きを潤わせてくれるという意味。
かつてこの庭園が造られた頃はこんな住宅街ではなく、竹も茂るような郊外エリアだったのかも。この庭園が見られて、ランチも品数多く1,100円!安…。また近く行った際は立ち寄ります!
(2020年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
嵐電北野線 北野白梅町駅より徒歩7分
JR嵯峨野線 円町駅より徒歩20分弱
便利なバス停は「衣笠校前」バス停下車 徒歩5分
〒603-8341 京都府京都市北区小松原北町135 MAP