平安時代、かの空也上人が開いた京都・綾部の古刹。綾部藩主・九鬼家の支援で整えられた伽藍と、京都府指定文化財(名勝)の枯山水庭園。宿坊も。
正暦寺庭園について
「那智山 正暦寺」(しょうれきじ)は京都・綾部の由良川を望む丘の上に平安時代に空也上人により開かれた高野山真言宗の寺院/宿坊。江戸時代には綾部藩主・久鬼家の祈願寺となり、江戸時代後期に作庭の枯山水庭園が京都府指定文化財(京都府指定名勝)となっています。国指定重要文化財の涅槃図を所蔵、地域では“萩の寺”として知られます。
2022年5月に初めて拝観。1日1組限定、一棟貸しの宿坊を体験される方が優先になるので常時拝観ではありませんが、都合が合えば庭園のみの拝観も可能。
ちなみにこちらの宿坊(寺泊)は英語対応は勿論、様々な日本文化・自然体験プログラムや地元産の食材による料理などの用意も。そして近代に建築された懸造の客殿が客室に。京都らしい宿泊体験を探されている方にオススメ。
“森の京都”の中核都市の一つ・綾部市。その中心市街地の外れ、由良川に沿った高台にあるのが正暦寺。その歴史は古く、平安時代の942年(天慶5年)に空也上人がこの地で観音像を彫刻・制作し祀ったのがその始まりとされます。寺名「正暦寺」は雨乞祈願の成功によって991年(正暦2年)に一条天皇により賜ったもの。
そこから時が流れて江戸時代、初代綾部藩主・九鬼隆季が入って以来九鬼家の祈願寺に。現在の伽藍(山門・本堂・庫裏・鎮守堂など)は九鬼家の庇護によって江戸時代後期に整えられたもので、九鬼家からは参勤交代の交通安全祈願に信仰されていた不動明王立像や駕籠も寄進を受けています。
京都府指定名勝の庭園が作庭されたのも江戸時代中期〜後期。当時の住職(15世)・湛信上人が再建した庫裡の西側にあり、現在は中庭のような形で鑑賞することができます。一面の苔の中に手前と奥に2つ、計3つの島(頭島/鶴島/亀島)が配置。奥の2つの島に枯滝石組などが見られる構成で、正面から見ると背後(西方)の“藤山”が借景として望めます。
この主庭園以外にも本堂前の枯山水庭園、由良川に面した斜面に多く植ったサツキツツジ、樹齢600年のケヤキなど四季の花や樹木が見所。また“萩の寺”の愛称通り、9月〜10月には萩の花も見頃を迎えます。近い時期に見頃を迎える「綾部バラ園」をあわせてチェック。
(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陰本線 綾部駅より2km(徒歩25分)
綾部駅より路線バス「大本長生殿前」バス停下車 徒歩6分(日中は2時間に1本程度?)
*綾部駅前にレンタサイクルあり
〒623-0033 京都府綾部市寺町堂ノ前45 MAP