清水組・大友弘の手掛けた、ステンドグラスや和の意匠が美しい近代和風建築と日本庭園。国指定重要文化財。
松籟閣庭園について
【冬季は休館&月・水・金のみ】
「松籟閣」(しょうらいかく)は新潟の江戸時代後期の天保年間創業の酒造会社「朝日酒造」の迎賓館(一般公開もされています)。昭和初期の1934年(昭和9年)に初代社長・平澤與之助の自邸として建てられた和洋折衷の近代和風建築で、2018年に国指定重要文化財となりました。
「新潟のここも良さそうですよ」とFacebookで教えてもらったのが多分2018年頃。2019年GWの旅行で信越本線で新潟⇒長野を移動するルートになったので、途中下車して初めて訪れました。通常の開館日は4~11月の月・水・金曜日となっていますが、このGWは開館してました。
庭園というよりは建物メインですが、この建物がめちゃくちゃオシャレな近代和風建築なので建築好きが新潟旅行する時にはぜひ足を運んでほしい場所…!駅からの距離もそんなに遠くないので。
中央に和風の主屋棟、そして向かって右手に洋風の応接室。応接室の設計を手掛けたのは熱海の『起雲閣』(旧根津嘉一郎別邸)を手掛けた清水組(現・清水建設)の大友弘。この大友弘さんはその他に新潟の洋館『新津記念館』も手掛けています。 起雲閣のステンドグラスの丸窓もとても印象的だったけれど、この松籟閣の寝室のアールデコ調の丸窓もとてもかっこいい。担当しているのが同一人物だったとは。
その総ケヤキ造の重厚な玄関が豪勢さを感じさせる和館も、小座敷・茶の間“松籟の間”(7枚目)、書斎“朝日の間”やその前の廊下(10枚目)、障子戸や欄間に多種多様な細工・意匠が見られて本当に素晴らしい。
この美しい建築も、2004年に起こった中越地震では震源地から近かったことで大きく被災。倒壊には至らなかったものの内部は激しく損傷。それも会社の強い意志のもと現在の姿に修復されました。
それに先立って2001年に現在の「朝日酒造」の工場敷地から曳家で移動。なので邸宅の周囲を取り囲む庭園というのは、(おそらく元の邸宅の庭園をベースにしつつも)その際整備されたものかと思います。茶の間や朝日の間から眺める中庭やその先の芝生のきれいな庭園、そして玄関前のマツの高木や板橋が見られる庭園。こちらはちょっと古い雰囲気がある。
ちなみにこの建物の近くにある朝日酒造の売店施設「あさひやま」の庭園は岩城造園が手掛けています(こちら)。…あさひやまで試飲はしたけど庭園の写真は撮ってなかった…!不覚。『もみじ園』とあわせ、新潟の隠れた近代建築&庭園巡りに!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)