重森三玲に師事した作庭家・斎藤忠一さんが携わった、浜松の市街地らしからぬ苔の美しい枯山水庭園。
松寿院庭園について
「松寿院」(しょうじゅいん)は浜松市曳馬にある臨済宗・奥山方広寺派の寺院。境内には作庭家・齋藤忠一さんが手掛けたという枯山水庭園があります。
浜松市の寺院の庭園…というと『龍潭寺庭園』を筆頭に細江や三ヶ日あたりの“湖北五山”が有名。北山安夫さん作庭の庭園のある『龍雲寺』のような例外もありますが、都市化してしまった市街地では“寺院の庭園”ってイメージって全く無かった。
この庭園を知ったきっかけは――2019年夏に足を運んだ徳島の『本楽寺庭園』に感動して、斎藤忠一さんの他の作品を探したくてググって引っ掛かった浜松市浜北区の造園会社・五常園さんのブログ。
中区曳馬って個人的な話をするとほんとに高校生の頃(や大人になってからも)自転車でよく走っていたエリア。曳馬と助信の間にいくつかお寺や神社があると思ってはいたけど、そんな“庭園”のあるお寺があるとは知らなんだ…ただ、情報源はこれだけ。ひとまず帰省した際に足を運んでみました。
山門入って右手にある苔とイロハモミジと枯山水庭園はこれまで浜松で見たことがないタイプの庭園。浜松にこんな苔庭があったとは…!実際境内にある庭園のどこまでの範囲が斎藤忠一さんが手掛けているのかはわからないのですが(本楽寺と比べて、師匠・重森三玲さんから受け継いだ作風――という感じではあまり無い)、使われている石材、これは浜松で採れたものなのかな…なんかあまり浜松で暮らしてて見る機会が無い石な気がする。
京都に引っ越してから紅葉の投稿が増えてるし、浜松で紅葉観に行った記憶なんて全くないんだけど、このお庭のイロハモミジ、今頃どうなってるのかな〜ちゃんと赤く染まるのかな〜と気になってたりする。また冬に実家帰った時に観に行くけど、いつか晩秋にも訪れてみたいなあ…。お寺のルーツも方広寺派という以外の情報が無いので…次回訪れる際にお聞きしてみよう。
※余談。斎藤忠一さんが副会長を務める京都林泉協会が2019年12月1日に浜松の湖北で例会をされるそう。部外者なので参加はできないけど、浜松の庭園を観に来てどんな話をされるか、偶然居合わせたい…。
あともっと余談なのですが、この庭園の情報源となった浜松市浜北区の『五常園』さんのサイトを見ていて。
植木の町浜松市浜北区。数多くの庭師がこの土地から輩出され全国で活躍して来ました。 その中の一人、足立愛次郎氏。明治時代に多くの庭を手がけ、その伝統の技を弟子に伝えました。
浜北って植木の町だったのか…!全く知らんかった。同級生に造園業・植木業の息子とか居たのかなあ。自分自身はニュータウンのような町に少し居ただけなのでそこに何の縁もないけれど――意外と原風景の中に『植木』『お庭』があったのかもしれないなぁ。そして浜松にもまだまだ知られていない和風庭園があるのかも。
(2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)