現代長野を代表する作庭家・小口基實が福岡で手掛けた、様々な種類のチャート石に惹かれる枯山水の石庭。
正行寺石庭について
「正行寺」(しょうぎょうじ)は西鉄二日市駅から程近くにある浄土真宗東本願寺派の寺院。境内の枯山水庭園は長野県で数多くの和風庭園を手掛けられている作庭家・小口基實により手掛けらたもの。
2020年冬の福岡旅行。特に予定を決めておらず久々に太宰府にでも行こうと思って二日市駅から西鉄二日市駅へ徒歩移動。何度か歩いたことあるはずの道だったけど、このお寺の山門から見える本堂の立派さに初めて足が止まり――。
山門を抜けるとすごく立派な石庭があって――とにかくチャート石の多さに目を奪われる。その時は「地元の造園会社さんによるものかもしれないけど、めちゃめちゃセンス良い会社さんだな…」とか思って。
お寺さんにお聞きしようとしたけれど「観光寺院ではないので、ご案内などはしていないんです」と申されていたので詳細はわからず――で、後日別件で小口基実さんの作庭作品一覧を見てたら…福岡県の正行寺の名前が!
2002年に『正行寺境内 全体改修改作』とあるのでその時に作庭されたものかと思います。重森三玲の庭園のある『興禅寺庭園』の前庭の枯山水なども手がける小口さん。納得してしまった。
正行寺は桃山時代の1593年に創建された寺院。代々ご住職を務める竹原氏は肥後国・阿蘇家一族の武将の出だそうで、戦国時代に薩摩国・島津家に敗れ、敗走した先のこの二日市の家で出家。福岡県で一番古い酒蔵“大賀酒造”による土地の寄進により創建、現代に至ります。
現在では東本願寺派の単立寺院で、福岡県のみならず東京や京都など国内に15箇所、更にはロンドンにも道場を持つそう。そのロンドンの道場には枯山水の石庭があるみたいなんですよ…どんな感じなんだろう。
小口さんの作庭実績の中で言うと、同じ福岡県の『正行寺春日山雅楽御堂』にも石庭(七五三の庭)があり、佐賀・武雄の別院の境内整備も手掛けているそう。次回福岡・佐賀あたりを旅行する際に訪れてみたい。
(2020年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)