
紅葉の名所に作られた2つの枯山水庭園――大文字山の借景の美しい曽根三郎“涅槃の庭”と独特なデザインの重森千靑“随縁の庭”。
真如堂庭園“涅槃の庭”“随縁の庭”について
「真如堂」(しんにょどう)こと「真正極楽寺」は平安時代に創建された比叡山延暦寺系の寺院。国指定重要文化財の伽藍のほか、1988年に曽根三郎さんにより作庭された“涅槃の庭”、重森三玲の孫・重森千靑さんにより2010年に作庭された“随縁の庭”と2つの枯山水庭園が見られます。
また境内には数多くのモミジ、カエデの木が植えられており、秋には紅葉の名所として多くの人が訪れます。紅葉の写真は2019年11月下旬に訪れた際のもの。2021年年始に拝観した写真を追加。
創建当初は一条天皇の勅願寺として地位を築いた真如堂ですが、室町時代以後は室町幕府8代将軍・足利義政の妻、日野富子や15代将軍・足利義昭、そして豊臣秀吉や東山天皇など様々な時代の権力者によって移転を繰り返し、現在地に落ち着いたのは江戸時代中期。境内にある本堂(国重文)や鐘楼は江戸時代中期、三重塔は江戸時代後期に建立されたもの。
そして庭園は冒頭の通り2つの枯山水庭園があります。
■涅槃の庭(作庭:曽根三郎)
作庭は『天龍寺』の前庭や曹源池庭園の修復なども手掛けた曽根造園・曽根三郎。大文字山、比叡山などの東山連峰を借景とした枯山水庭園。
近年の作品なのでまだ文化財等にはなっていませんが、そのロケーションと作品含めて文句なしに素晴らしい庭園!その石組がお釈迦様を中心とした「涅槃」の図を表現したものですが、詳細の説明は関連リンクから公式サイトを参照に。
■随縁の庭(作庭:重森千靑)
2010年に作庭された、より現代的な枯山水庭園。設計は重森千青さん。背後にある仏道に付けられた家紋をモチーフにデザインされたという、複数種類の砂と直線的なデザインが見所の庭園。
重森三玲さんの枯山水庭園のある三重県の『ちそう菰野』に飾られていた棚?アート作品?がこの庭園とよく似ていて。何か関連性があるんかなー。
その他境内には、近代の日本画家・鈴木松年や、円山応挙をはじめとする円山派の画家・国井応祥の襖絵も残ります。また真如堂は三井財閥・三井家の菩提寺であり、三井高利らの墓所も。
運慶によって書写された国宝の「法華経」を初め、応仁の乱の絵図も記録されている「真如堂縁起」(国重文)、そして広い境内をほこります。紅葉の時期以外には参拝客もそこまで多いわけではなく、紅葉の時期も境内の紅葉を撮る人は多いけど庭園まで見に行かれる方はその一部…庭園も良いのに…!素晴らしい借景を落ち着いて眺められるオススメ庭園です。
(2018年9月、2019年11月、2021年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)