京都の紅葉の名所ランキングでも上位!の寺院に現代の京都の作庭家による2つの枯山水庭園。曽根三郎“涅槃の庭”と重森千靑“随縁の庭”。
真如堂庭園“涅槃の庭”“随縁の庭”について
「真如堂」(しんにょどう)の通称で知られる「真正極楽寺」(しんしょうごくらくじ)は京都の紅葉の名所として上位の人気をほこる寺院。国指定重要文化財の本堂のほか、紅葉の季節以外にも季節の移ろいや季節を問わず楽しめる2つの枯山水庭園“涅槃の庭”と“随縁の庭”があります。
“涅槃の庭”は京都を代表する造園会社の一つ・曽根造園を率いた曽根三郎、“随縁の庭”は昭和の人気作庭家・重森三玲の孫・重森千靑さんの作庭。
紅葉の写真のほかに青もみじの季節や1月に雪が降った際の写真を紹介。紅葉の季節には人でごった返しますが、それ以外の季節には東山の借景を独り占めできる穴場の庭園。
その歴史は平安時代にさかのぼり、984年(永観2年)に比叡山延暦寺の僧・戒算上人により、一条天皇の母で藤原道長の姉・藤原詮子(東三条院)の離宮に創建。「真正極楽寺」の名は《極楽寺と名乗る寺は多いが、ここが正真正銘の極楽の霊地》という意味が込められているとか。
創建の際に戒算上人が比叡山から持ち出した慈覚大師円仁の作と伝わるご本尊・阿弥陀如来立像は国指定重要文化財で、平安時代に仏師・運慶が制作した「法華経六巻」(運慶願経)は国宝に指定。
室町時代以後は室町幕府8代将軍・足利義政の妻、日野富子や15代将軍・足利義昭、そして豊臣秀吉や東山天皇など様々な時代の権力者によって移転を繰り返し、現在地に落ち着いたのは江戸時代中期。国指定重要文化財の本堂のほか、総門/三重塔/鐘楼/元三大師堂が京都市指定有形文化財。
そして冒頭に書いた通り、2つの枯山水庭園と茶室前の露地庭園があります。
■涅槃の庭(作庭:曽根三郎)
書院から眺める、東山三十六峰〜大文字山を借景とした枯山水庭園。作庭を手掛けたのは世界遺産『天龍寺』の曹源池庭園の修復や前庭の作庭も手掛けた曽根造園・曽根三郎。正面に見える苔の山や庭石はお釈迦様を中心とした「涅槃」の図を表現されています。1988年(昭和63年)の作庭と現代の庭園なのでまだ文化財等にはなっていませんが、ロケーション含め素晴らしい庭園!
また三井グループ・三井家より寄進された“燈明寺形灯籠”の本歌も。
■随縁の庭(作庭:重森千靑)
そして更に近年、2010年に作庭されたのが随縁の庭。複数色の砂と直線的なデザインが印象的なモダンな枯山水庭園の中には真如堂を菩提寺とする三井家の家紋“四つ目家紋”が組み込まれています。
その他広い境内には戦国時代の武将・斎藤利三(三代目将軍・徳川家光の母・春日局の父)や三井財閥・三井高利らの墓所も。また近代の日本画家・鈴木松年や、円山応挙をはじめとする円山派の画家・国井応祥の襖絵も残ります。紅葉の時期以外にもぜひ参拝に訪れてみて!
(2018年9月、2019年11月、2021年1月、2022年1月、2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)