皇室ゆかりの香華院“御寺”で特別拝観されている、皇族ゆかりの歴代の天皇陛下もご鑑賞された池泉鑑賞式庭園。
泉涌寺御座所庭園について
「泉涌寺」(せんにゅうじ)は皇室の菩提寺“皇室香華院”として知られる、真言宗泉涌寺派の総本山寺院。“御寺”(みてら)の呼称でも知られます。国指定重要文化財の仏殿を中心とする格式高い伽藍のほか、『御座所庭園』が特別拝観できます。2021年11月に約5年ぶりに拝観!
その歴史について。平安時代の天長年間(824年~833年)に弘法大師空海により創建された『法輪寺』がその前身。855年(斉衡2年)に左大臣・藤原緒嗣が京都・東山三十六峰、月輪山の麓のこの地に営んだ山荘を僧・神修に与え、その際に『仙遊寺』に改名。
鎌倉時代の1218年(建保6年)に宋から帰国した俊芿(月輪大師)によって再興。仙遊寺の旧境内地+武将・宇都宮信房から邸宅地を寄進され、伽藍が10年がかりで整備。その際に境内に湧きはじめた水にちなんで現在の寺名となりました。当時、俊芿が記した書「泉涌寺勧縁疏」は国宝に指定。
皇室との結びつきが強くなったのは、俊芿が後鳥羽上皇・後高倉院(法皇)から帰依、信仰され、再興の際に支援を受けたことから(北条政子・北条泰時など鎌倉幕府との結びつきも)。
以来、四条天皇から江戸時代の後水尾天皇・後陽成天皇・孝明天皇まで歴代天皇・皇后の御葬儀が泉涌寺で執り行われたほか、14代の天皇陵や多くの皇妃、親王陵が泉涌寺山内にあります。(なので宮内庁の事務所も参道の途中にある)
そして非公開の“霊明殿”には歴代天皇・皇后の御尊牌(お位牌)がお把りされているほか、御念持仏、御遺品も残されているとか。山内で最も格式高い建造物となっています。
現在の霊明殿および、泉涌寺本坊の南部にあたる“御座所”は1882年(明治15年)に火災の被害に遭い、その後再建されたもの。
そのうち御座所は『京都御所』内にあった皇后宮の“御里御殿”を移築したもので、江戸時代後期の1818年(文化15年)の建築。庭園に面した“玉座の間”は現代にも天皇・皇后両陛下がお参りに来られた際に使用されており、直近では2019年11月にも用いられました。
そんな御座所に面して、歴代天皇が眺められた池泉鑑賞式庭園が“御座所庭園”。作庭は現在の御座所(御里御殿)が移築された1884年(明治17年)のこと。東山山系を借景として、奥には小さな築山、手前に白砂と苔が敷かれ、秋には頭上の紅葉が赤や黄色に染まる姿を見せてくれます。
また池の脇にある雪見灯籠は『仙洞御所』で移されたもので、焼失前には大方丈の庭園に配されていたのだとか。
そのほか建造物で、“舎利殿”は江戸時代初期にこちらも京都御所から移築・改装されたもので、それと並ぶ“仏殿”も江戸時代初期、江戸幕府四代目将軍・徳川家綱による再建で国指定重要文化財。狩野探幽の天井画も。
その参道や周囲に『雲龍院』、『来迎院』、『善能寺』などの庭園が見られる塔頭寺院を有します。
で、5年ぶりに訪れた今回は泉涌寺本坊でアート・イベント『未景』の開催初日。本坊の別の庭園も拝観することができました。別記事で紹介。
(2016年12月、2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR奈良線・京阪本線 東福寺駅より徒歩20分
最寄りバス停は「泉涌寺道」バス停 徒歩13分
京都駅から約2.5km(駅周辺・参道にシェアサイクルポートあり)
〒605-0977 京都府京都市東山区泉涌寺山内町27 MAP