空海が開いた寺院に、赤穂浪士・大石内蔵助良雄により造られた茶室「含翠軒」とその庭園。
来迎院含翠庭について
皇室の菩提寺として「御寺」と呼ばれる泉涌寺の塔頭寺院である「来迎院」(らいごういん)。平安時代初期、唐から帰国した弘法大師(空海)によって創建したと伝わっており、その庭園「含翠庭」の一角には「忠臣蔵」で有名な赤穂四十七義士の中心的人物・大石内蔵助良雄により造られた茶室「含翠軒(がんすいけん)」が建ちます。
泉涌寺の塔頭寺院となったのは鎌倉時代のこと。その後焼失・荒廃した際には織田信長や前田利家、そして豊臣秀吉や徳川家康の保護もあり再興。
江戸時代の中期、赤穂浪士となり吉良上野介の屋敷に討ち入る前の大石内蔵助が縁あり滞在。その際、境内にある空海が掘ったという湧水「独鈷水」でお茶を楽しむ為に「含翠軒」とそれに付随する茶庭「含翠庭」を作庭しました。
明治時代の廃仏毀釈で一度は荒廃したものの、大正時代に玄暁和尚により伽羅や庭園を修復。現在の庭園はその際に大幅に修復されたものらしいので、大石内蔵助が過ごした往時の姿を留めているかは不明ですが、晩秋には庭園内に多く植わっている紅葉が赤く染まり、紅葉の名所となるそう(今回の2度目の拝観は11月初旬だったので、また色づきはじめだった…)。
また現在も残る茶室の「含翠」の額は内蔵助本人の書によるものとされます。その他にも内蔵助が書した絵画や愛用した茶釜なども所蔵。
そのほか境内の高台に建つ「荒神堂」には、国指定重要文化財である日本最古の荒神像がまつられています。茶室「含翆軒」では時折茶会も催されているそうなので、そちらもチェックを〜。また山門・石橋のすぐ向かいに重森三玲作庭による「善能寺庭園 遊仙苑」があります。
(2015年9月、2018年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR奈良線・京阪本線 東福寺駅より徒歩15分(※下記のルートはお寺の裏に回り込んでいるので注意)
最寄りバス停は「泉涌寺道」。バス停より徒歩10分
〒605-0977 京都府京都市東山区泉涌寺山内町33 MAP