京都の名石工・西村金造セレクトの石造物にも注目。佐野源左衛門常世ゆかりの寺院の、黒部市指定名勝庭園。
西徳寺庭園について
【要事前電話予約】
「西徳寺」(さいとくじ)は黒部市の中心・黒部市三日市大町商店街沿いにある浄土宗の寺院。鎌倉時代に創建された歴史を持ち、明治〜昭和初期にかけて作庭された庭園が黒部市指定名勝となっています。
2020年9月、約3年ぶりに富山県を訪れました。先に紹介した黒部宇奈月温泉駅からすぐの『松桜閣庭園』の中でも少し書きましたが、富山県って日本庭園が少ない。なので紹介している庭園も少ないんですが…市指定名勝まで掘り下げると、黒部市には松桜閣の他にこの庭園も市指定名勝になっています。
Googleマップにも掲載されていないけど、別に隠したいわけではなさそうで…事前に拝観を申し出たら庭園はご住職の説明付きでご案内いただきました。
お寺の歴史としては鎌倉時代初期に永海上人によって創建されて以来この地にあり、お能の謡曲『鉢木』の主人公として知られる鎌倉時代の御家人・佐野源左衛門常世の祈願所だったとされます。本堂などのお堂はけっこうピカピカ。富山市の宮大工・酒井匠工務店さんによると昭和中期の三日市大火で焼失した後、その50幾年経った2010年代に再建されたのが現在の伽藍であるとのこと。
本堂・庫裏の裏にある庭園は回遊式の枯池式庭園。300年前(江戸時代中期)に茶庭として作庭がはじまり、その後明治30年頃に地元・黒部三日市の庭師・中田辰治郎の手によって大改修。30年の時間をかけて昭和初期に完成。
これだけ時間がかかった背景には大正後期の地方の不況や、不況対策として「仕事を生む」ために作庭に時間が掛かった…という側面もあったとか。山形の『御苦楽園』や新潟の『孝順寺庭園』など、地方にはそうした庭園が点在する。
昭和までは境内に水が流れ、中心となる心字池にも水が張られた池泉回遊式庭園でしたが、昭和中期頃に市街地の開発が進み水が枯れてしまったとのこと。
浄土宗の祖・法然上人や法然に影響を与えた善導大師の言葉を庭園の中で表現しつつ。現在配されている庭石や石造物は現代京都の名石工・西村金造に頼んでセレクトしてもらったものが多いらしいので。庭園の中でも石造物が好きな方にはぜひ立ち寄りを。
(2020年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
富山地方鉄道本線 電鉄黒部駅より徒歩3分
あいの風富山鉄道 黒部駅より徒歩15分
黒部駅・黒部宇奈月温泉駅より路線バス「寺町商店街」バス停下車 徒歩1分
〒938-0031 富山県黒部市三日市3220 MAP