嘗て聖武天皇の命で東大寺の開山・良弁が大寺院を開いた地に、“鈍穴流”花文造園が作庭した回遊式枯山水庭園。
西應寺庭園について
「西応寺」(さいおうじ)は奈良時代、聖武天皇の勅願により奈良・興福寺の別院としてこの地に建立された大寺院『南都興福寺別院 円満山 少菩提寺』の「禅祥坊」を前身とする寺院。境内には近江・五箇荘の“鈍穴流”花文造園により昭和後期に作庭された回遊式枯山水庭園があります。
2019年春に初めて近江五箇荘を訪れて「そんな作庭流派があるのか!」と知った“鈍穴流”。このお寺を知ったきっかけは花文造園さんの“鈍穴流について”のページにて。2019年夏に初めて訪れました!ちょうど伽藍が修理工事中だったのですが、許可をいただいて庭園を鑑賞。
JR草津線の石部駅から北へ約2km、菩提寺山の麓。戦国時代に織田信長がこの地に攻め込むまでこの一帯には少菩提寺を中心として7つの神社と37のお寺が立ち並んでいたそう。少菩提寺の開山は奈良・東大寺を開いた良弁僧正。
1571年に織田信長によってその殆ど焼失(いやきっとそれ以前の衰退とかもあるんだろうけど)。西応寺の近隣に残る「廃少菩提寺石多宝塔および石仏」は国指定重要文化財で、現在西応寺が所蔵し戦火を免れた室町時代の1492年に描かれた「紙本著色廃少菩提寺古絵図」は湖南市指定文化財。
客殿・書院前に回遊式の枯山水庭園が広がります。水が流れてそうな作りなのですが元々枯池なのだそう。近年の夏の暑さの影響か真っ赤に焼けているモミジがいくつかあったのが――カラフルで良いっちゃいいし、木の状態が心配と言えばそうだし。いずれにしても庭園にも参道にもモミジ・カエデが多く植わっていて秋には紅葉の名所にもなる庭園。菩提寺山を借景とし、庭園の高台からは近江盆地と鈴鹿山脈の眺望も良き。
それでも五箇荘の庭園もそうですが、鈍穴流の庭園の特徴だなあと感じるのは黒い大きな石(雑な説明…)が多用される飛び石・踏分石。それを踏みしめながら歩くのが楽しい。庭石の上には色んな石造物が配され、中でも高台にある十三重石塔が圧巻。本堂の前にある巨石も花文さんが持ち込んだものなのかな…?また新緑や晩秋の季節に訪れたいお庭!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR草津線 石部駅より2.5km(徒歩約30分)※駅にレンタサイクルあり
石部駅・甲西駅よりコミュニティバス「菩提寺コミュニティセンター」バス停下車 徒歩7分
〒520-3242 滋賀県湖南市菩提寺1677 MAP