紅葉の名所“湖東三山”の国宝第一号の寺院に残る、望月友閑が作庭の遠州流庭園。苔も美しい、国指定名勝。
西明寺本坊庭園“蓬莱庭”について
「龍應山 西明寺」(さいみょうじ)は紅葉の名所として有名な滋賀県の“湖東三山”の一つに挙げられる寺院。本坊の庭園“蓬莱庭”が国指定名勝となっているほか、鎌倉時代に“飛騨の匠”が建立したと推定されている本堂・三重塔が国宝に指定されています(本堂は“国宝保存法”での第一号)。その他にも二天王立像・釈迦如来立像など国指定重要文化財の仏像を多く所蔵。
2020年11月に約4年ぶりに訪れました。そして今回は東京に住んでいた頃憧れていた紅葉期の湖東三山!これまで訪れた2回と比べてとても人が多かった。
その歴史は平安時代の834年(承和元年)、時の仁明天皇の勅願により天皇が帰依していた三修上人(慈勝上人)が創建。源平合戦の頃には源頼朝が訪れ戦勝祈願をしたと伝わります。
室町時代になった頃には17のお堂・300の僧坊のある大寺院となったものの、天台宗だったことから戦国時代には織田信長の比叡山の焼き打ち直後に西明寺もその被害に。しかし幸運にも本堂・三重塔・二天門(室町時代建立/国重文)が火災を免れ、現代まで残り続けています。二天門の彫刻は院尋の作。
江戸時代に入り、天台宗の僧・天海、公海や、望月越中守友閑により徐々に復興。国指定名勝の庭園“蓬莱庭”は1673年(延宝元年)、その望月友閑により復興を記念して作庭された池泉鑑賞式庭園。現在は回遊式庭園として園路が整備されていて、様々な角度から紅葉と庭園の組合せを見ることができる。
斜面を活かした築山に数多くのサツキの刈込みと庭石を配した遠州流庭園。その石組は御本尊の薬師如来と日光・月光の菩薩さま、そして十二神将などに見立てられ、刈込みは雲を表現。池中、正面にある石組は鶴島、左手にあるのが亀島。
4年前の写真と比べると…鶴島・亀島の石の周辺を覆っていた水草や植物が取り除かれて、島の形(庭園の造形)がすっきりと見えるようになっている(前の一面緑も好きだったけど)。『胡宮神社』のみならず西明寺本坊庭園でも文化財の修復が行われたのかな〜。また石屋弥陀六作の鎌倉時代の灯籠も。
“蓬莱庭”の園路を進んだ庭園上段には苔の世界が広がり、そして途中にある小さな池が開山の三修上人がこの地にたどり着くきっかけとなった光を放っていたという“阿伽池”。この池から“池寺”という通称となり、現在では地名にもなっています。
長い表参道の途中には名神高速道路が横切り、かつて300あったという僧坊も残るのは片手の指で数えられる程度。それでも参道全体に渡って紅葉と美しい苔、そしてかつて穴生衆が積み上げた穴太積の石垣や滋賀県指定天然記念物の“不断桜”が楽しめる。参道の良い雰囲気も味わってほしいお寺。
(2015年3月、2016年12月、2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR琵琶湖線 河瀬駅・近江鉄道 尼子駅より予約型乗合タクシー「西明寺」下車 ⇨時刻表はこちら
*紅葉の時期にはJR彦根駅より「湖東三山シャトルバス」運行
近江鉄道 多賀大社前駅・尼子駅・豊郷観光協会案内所にレンタサイクルあり 約6km
〒522-0254 滋賀県犬上郡甲良町大字池寺26 MAP