清水エスパルスのホーム・日本平スタジアムから最も近い文化財庭園は東山天皇も行幸された富士山の絶景庭園!国の天然記念物の大ソテツも。
龍華寺庭園“観富園”について
「観富山 龍華寺」(りゅうげじ)はサッカーJリーグ・清水エスパルスのホームスタジアム・日本平スタジアム(IAIスタジアム日本平)から徒歩10分強の場所にある徳川家ゆかりの寺院。“徳川御三家”紀州徳川家・徳川頼宣と水戸徳川家・徳川頼房により江戸時代初期に造営された本堂・庭園“観富園”が静岡市指定文化財であるほか、「龍華寺のソテツ」が国指定天然記念物。
2022年10月に約5年ぶりに訪れました。境内では本堂や庭園越しに富士山の姿をのぞむこともできます!(前回は雨模様で見ることができなかった…。)でも数日間後だったら冠雪した富士山が見れたんだろうなあ〜。
お寺の歴史について。江戸時代初期の1670年(寛文10年)、日蓮宗の僧・日近上人により創建。
創建に関わるキーマンだったのは徳川家康の側室で徳川頼宣・徳川頼房の生母のお万の方(養珠院)。日近の師・日遠上人に深く帰依し、後にその縁から徳川頼宣が日近にこの地を与え、隠居所として山梨の『本遠寺』から移り住みました。
「観富士 龍華寺」の山号・寺名は日近を信仰した東山天皇の命名。東山天皇に皇室の祈願寺と定められて以来皇室との縁も続き、境内に入ってすぐの朱色の“行啓門”は昭和天皇が大正時代(皇太子時代)に訪問された際に建築されたもの。(現・天皇陛下が行啓されたこともあるとか)
緩やかな坂を登った先にある本堂のような立派な祖師堂、そして龍華寺に眠る明治の文豪・高山樗牛の遺品や作品を展示する「樗牛館」は平成年代(2003年)の建立と新しいですが、茅葺屋根の本堂とその先にある庭園“観富園”は江戸時代初期の創建時に徳川家(徳川頼宣と徳川頼房)に寄進/造営されたもの。なお御本尊の釈尊坐像も紀伊徳川家からの寄進。
庭園“観富園”はその名の通り“富士を観る庭園”。日近の構想の下で池泉を駿河湾に、そして本堂の茅葺屋根を富士山に見立てて造園に約10年を費やしたという池泉回遊式庭園で、庭園奥からは庭園・本堂越しに富士山をのぞむという絶景が見られます。
池に架かる石橋は東山天皇の“行幸橋”と伝わり、その歴史から静岡市の指定文化財(静岡市指定名勝)にも選定。かつては“東海屈指の名園”と呼ばれたとか…。(現代はそこまでの知名度ではないかもだけど)
ただ、かつて“松の名園”と呼ばれた庭園も徐々にマツクイムシにやられ…樹齢数百年というマツが7本あったうち地を這うような“亀松”が残るのみに。で、樹齢360年の亀松も前回5年前はまだ元気だったけれど、今回はかなり葉を落としてしまってた…。
マツだけでなく5年前の庭園の姿と見比べると、今回は庭園全体がかなりすっきりと明るくなっていることがわかる。樹木が育ち過ぎて日が当たりにくくなっていたことや、近年頻発する豪雨による土砂崩れの対策・予防が進んでいるのかも。
そして文化財的に龍華寺で一番格が高いのは本堂前に植わっている「龍華寺のソテツ」(大蘇鉄)。
京都の名庭園『桂離宮』でも一つのコーナーとして解説のある南国の植物のソテツですが、この龍華寺のソテツは日本で最初に天然記念物に指定されたものの一つで、国内では最大規模のソテツと言われます。これもやっぱり徳川頼宣・徳川頼房の寄進で、日本で自生する鹿児島や宮崎ではなく中国から移植されたものなのだとか。推定樹齢は1,100年!
それと並んで植わっているサボテン(大仙人掌)も静岡市指定天然記念物。こちらも同じく中国から移植されたものだそうで、樹齢は300年。
で、境内の低地部にも日本庭園があり、こちらは“龍潜園”という現代の池泉回遊式庭園。池の周囲では睡蓮のほか季節季節の花々を見ることができます。拝観受付には“寺cafe”も併設。庭園・寺社仏閣好きも、サッカーのサポーターの方もぜひ立ち寄ってみて。
(2017年10月、2022年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR東海道本線 清水駅/しずてつ 新清水駅より約4km(市内にレンタサイクルあり)
清水駅より路線バス「龍華寺」バス停より徒歩2分
※日本平スタジアムより徒歩10分強
〒424-0926 静岡県静岡市清水区村松2085 MAP