“衣笠絵描き村”のはしり。日本画家・木島桜谷の邸宅として大正時代に建築された近代住宅。国登録有形文化財。
櫻谷文庫(旧木島櫻谷家住宅)について
【通常非公開・春に特別公開】
「櫻谷文庫」(おうこくぶんこ)は明治〜昭和初期の近代に活躍した日本画家・木島桜谷(このしまおうこく)の旧宅を拠点に作品・遺品・収集したアイテムを収蔵・展示している組織。“美術館”“ギャラリー”的な言葉はどこにも出てこないけどイメージ的にはそんな感じ。
大正時代に建てられた和館・洋館・画室の3棟が国登録有形文化財と京都市指定有形文化財になっています。例年、3月〜4月初旬の金・土・日に特別公開。2020年に初めて訪れました!
京都出身の木島桜谷は近代には竹内栖鳳と人気を二分した存在だったそうで、彼が大正2年にこの衣笠の地に転居して以降多くの画家がこの地に転居する流れが起き。堂本印象や、竹内栖鳳の弟子・徳岡神泉、小野竹喬らの名前も。それによりこの周辺は“衣笠絵描き村”と呼ばれました。
洋館に古い写真がありましたが(公式サイトにも他の写真が載ってる)、当時はこんな住宅地ではなく田園地帯で、住宅の周辺も竹林の生い茂るような田舎だったみたい。
数寄屋風の意匠の客間や『岩倉具視旧宅』でも見られた近代的なガラス窓、そして桜谷の襖絵・作品・遺品・資料が見られる2階建ての和館。和洋折衷の内装が見られる洋館では、今回は伊藤若沖の絵画の展示も。足元の部分の竹の装飾が“和”の雰囲気を引き立たせているのですが、等間隔の格子状ではなく、不等間隔かつ傾けて表現する手法。重森三玲の茶室“好刻庵”を思い出す。
そして庭園という程のものはあまりないのですが、敷地奥の“画室”の前にかつての庭園の遺構なのかなと思う石組がゴロゴロと残ります。画室は集会場のような広さ!
元はと言うと、現在テニスコートやアパートが建つ場所もかつては木島桜谷の邸宅があった場所。現在テニスコートがある場所にかつては池泉庭園があり、古写真で見ると衣笠山まで借景で眺められたみたいなんですよね。桂離宮みたいな立派な橋も見える――
けどそんな池も桜谷の死後には地域住民の要望で埋め立てられ、幼稚園が開園したり、現在は近隣の洛星中学校・高校が利用するテニスコート・弓道場になっています(所有は現在も櫻谷文庫)。国の文化財の洋館の足元にテニスボールが転がってる姿、ちょっと面白い。程近くにある桜の名所・平野神社の“桜花祭”とあわせて行くのもオススメ!
(2020年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
嵐電北野線 北野白梅町駅より徒歩7分
JR嵯峨野線 円町駅より徒歩20分弱
便利なバス停は「衣笠校前」バス停下車 徒歩5分
〒603-8343 京都府京都市北区等持院東町56-1 MAP